自宅まで吉本さんに送ってもらい、両親に犯人逮捕が確定してからの流れを説明してくれた。








父は吉本さんに犯人についていろいろ質問していたが、私は『心配する父親』を演じている父に非常に腹が立った。







吉本さん「犯人はまだ黙秘をしていて、何も話していないので、私たちにも分からないことが多い状態です。」






父が吉本さんに、




「犯人は新聞やテレビに報道されるのか」




を聞き、吉本さんは、








「新聞やテレビで報道してしまうと、ご近所さんに、
『七菜子さんが性的に嫌なことをされた』
ということが分かってしまい、二次被害、三次被害と、七菜子さんが一番嫌な思いをするので、メディアには出しません。
マスコミが騒いで来る可能性はあるかもしれませんが、警察からはメディアに出しません。
犯人は新聞やテレビに報道されなくても、今日自宅にパトカーがいっぱい来て、家の中の物を全て押収しているので、ご近所さんが見て、
『あの家は何かあったんだな』
と思い、世間的には罰を受けるはずです。」







私はこの吉本さんの話を聞いて、







「報道されているだけでも、被害にあっている人はいっぱいいるのに、報道されていないだけで、どれだけの人が性被害にあっているんだろう。」







と思い、改めて性犯罪者の存在の多さと、性被害者がたくさんいることを知った。







そして、その性被害にあった人で、生きている人(自殺してない、他殺されていない人)は何人いるんだろうと思った。









また、吉本さんは、






「より罪を重くするために、住居侵入、窃盗ではなく強盗、強制わいせつ罪ではなく強制性交罪で逮捕する予定です。」







と言ってくれて、刑事さんたちが被害者である私の気持ちをいかに理解し、守ってくれていることに改めて感謝した。








吉本さんはうちから警察署に戻り、数時間後に犯人が逮捕されたことを連絡してくれた。







私はこの連絡を受けて、正直、





「よかった………」





という気持ちよりも、






「これからが戦いだな。」






という気持ちの方が強かった。







実際これから私は、何度も自殺を考えるくらいの拷問を受けることになる。