犯行現場を確認し終えた刑事さんたちと、車で警察署へ向かった。
うちに来るときは、必ず普通乗用車で来てくれていた。
野次馬根性の強い近所のババア達が、うちに何か聞きたがらないように気を遣ってくれていたのだ。
運転席と助手席に男性の刑事さんが座り、後部座席の私の隣に吉本さん(女性)が座ってくれた。
運転席の日村さんが、
「3姉妹なんていいじゃん!!姉妹でどこか出掛けたりした?」
「姪っ子ちゃんいるんだね。まだ若いのにもう叔母さんなんだね!!」
などと、これから警察署に向かうのに不安でいっぱいの私に、気を遣って笑顔で話しかけてくれた。
隣に座ってくれた吉本さんも、
「あたし、ラーメン大好きなんだけど、一人で食べに行くの抵抗あるんだよね~。
橘さん、らーめん好き?」
などと、不安を取り除いてくれるように、ずっと話しかけてくれた。
日村さんと吉本さんとラーメンを食べに行く約束をすると、あっという間に警察署に着いた。
取調室に案内された私は、大分緊張していた。
吉本さんが資料を取りに言っている間、私は日村さんと安室さんの3人になったが、吉本さんは
「何かされたら大声出してね(笑)」
と言って、ドアを開けたままにして、資料を取りに行ってくれた。
すぐに日村さんも「すぐ戻るね」と言って、取調室から出て行き、安室さんを見て
「何かされたら大声出してね(笑)」
と言って、やはりドアを開けたままにして、出て行った。
安室さんと二人っきりになった私は、ドアを開けた状態でも少し恐怖を感じていたが(事件当時の感覚を思い出してしまうため)、
安室さんも私に気を遣って、いろんな話をふってくれたので、刑事さん達の細かい気遣いで、私は過呼吸を起こさずに済んだ。
日村さん、吉本さん、安室さんの3人が揃い、日村さんが、
「今から七菜子ちゃんに、男性40人の顔写真を見てほしいんだ。」
と言って、2冊の資料を渡してきた。
日村さん「この中に、犯人と似ている人がいたら教えてくれる?怪しいなぁ~って思った人何人でもいいから!」
と言われた。
私は怪しい男40人の顔写真を見て、よく知らない犯人の顔をしっかり思い出さなければ、と言う大仕事をすることになった。