被害届を正式に提出し、その後も何度か刑事さんたちがうちに訪問し、その度に犯人の特徴などを何度も思い出して説明し、1日でも早くアイツを捕まえてもらえるように祈っていた。









被害届を出した2ヶ月後、私のスマホに刑事の松尾さんから連絡が入った。








私「橘です。お世話になってます。」







松尾さん「橘さん?お世話になってます。松尾です。あれから体調どうですか?」







私「まだ物音に怯えたり………犯行現場の2階には一人でいけてないので、1階で両親と一緒に寝ています」






松尾さん「どこか出掛けられた?」







私「母や妹と買い物には行けて、一人でも庭先までは出られるようになりました。」







松尾さん「そうだよね………たまには外にも出ないとね……庭先だけでも外に出られれば、体にはいいもんね。」







まず、松尾さんは私の体調を気遣った後、本題に入った。








松尾さん「今ね、日村(男性警察官)と吉本(女性警察官)が、橘さんちに向かってるんだけど、警察署で犯人に似ている人たちの写真を、橘さんに見てもらいたいんだ。
もうすぐ着くと思うから、すぐに出られそう?」







私「はい。すぐに準備して待っています。」







そう言って電話を切り、母に刑事さんたちがうちに迎えに来ることを話した。








私は警察署でパニック発作を起こさないために、安定剤を飲んで待っていた。










間もなくして、刑事さんたちがやってきた。







日村さんと吉本さんと、初めて見た本部の刑事さんがいた。







日村さんはいつもの笑顔で、







「今日は突然すみませんでした。かなり大きい事件だったので、今日は本部の安室さん(仮名)という方に来てもらいました。」








本部の安室さん(男性)は、日村さんや吉本さんと一緒に、うちの犯行現場を見に来たかったらしい。








そのまま日村さん、吉本さん、安室さんの3人は、犯行現場の2階へ上がって行った。







もちろん、日村さんたちは、2階へ案内する前に、家に上がっていいかどうかの確認をした。







そして被害者である私も一緒に2階へ行くつもりだったが、吉本さんが、









「犯行現場にいるの辛いと思うから、橘さんは無理しなくても大丈夫だよ。
あ、貴重品とか心配だったら別だけど(笑)
信頼してもらえれば私たち3人で行くから!」








と、気を遣ってくれたので、私は言葉に甘えて1階で刑事さんたちが降りてくるのを待った。