父「それよりも七菜子はどうしたいんだ?
腫れ物扱いされたいのか?」
私が質問したはずなのに、父は質問で返した後、私を"腫れ物"呼ばわりしたので、私は絶句してしまった。
何も言わない私に、さらに追い詰める口調で父は
「いいか?お父さんとお母さんは、七菜子よりも先に死ぬんだぞ!!」
と、父が何かある度に毎回言うお決まりの台詞が出てきた。
私は運良く生きていたが、うちに入ってきた犯人が、人を躊躇なく殺せるような奴だったら、私は今とっくに両親より先に死んでいた。
事実、私は犯人がうちに入ってきた瞬間殺されると思った。
すると側にいる母が
「お父さんやめて!!今そういう話ししないで!!」
と声を荒げたが、そんなものは一つも効果なく、父は続けて、
「七菜子には、もっと目標を持って生きてほしい。何かやりたいことはないのか?」
と、その日の目標すら立てられず、毎日を必死に生きている私をさらに追い詰めた。
やりたいことなんて何一つない。
生きているのがここまで辛くなるとは思っていなかった私は、趣味である漫画を読むことすら出来ずにいた。
今まで出来るようになっていことが、アイツがうちに入ってきたせいで全て出来なくなってしまった。
乗れるようになった電車にも乗れなくなって、
本を読むどころか、
再就職のために取ろうと思っていた資格も、文字を読むのが辛く、
物音に怯えて集中力がない私にはとても難しくなってしまった。
私には出来ることも非常に少なければ、やりたいことなんて何一つなかった。
ただただ怯えずに暮らしたいだけだった。
ただでさえ出来の悪い私がこんな状態になり、
出来ることがより少なくなってしまったのに、
人生の目標を立てることなんか出来るはずがなかった。
それに私の場合、「コイツに殺される!!」という恐怖を体験したので、人生の計画を立てたところで、
「でも、どうせ殺されるか、自殺するかして、明日には死んでるかもしれないじゃん?」
という考えの方が強かった。
世の中は危険だし、未来には希望を持てない。
だから何も出来ないし、何かをするのが怖いのだ。
そんなことを思って黙っていると、すかさず父から信じられない言葉が出てくる。