玄関で泣き崩れる私に、






女性警察官の吉本さん(仮名)が私を支えるように、
リビングに連れて行ってくれた。






吉本さんは常に笑顔で、私に気を遣いながら、






「気持ち悪くなったり、体調悪くなったらいつでも言ってね。」






と言い、事情聴取を始めた。







犯人が入って来てから、出て行くまでの約20分間の犯人とのやり取りを、何十回もこと細かく説明し、
犯人の特徴をメモした紙を吉本さんに渡した。






メモを受け取った吉本さんは、



「これみんな覚えたの?」と言い、



私は「間違ってるかも知れないですけど………」




と自信なさげに言ったのを覚えている。






さらに吉本さんは、私の男性関係についても聞いてきた。






吉本さん「今まで付き合ったことはある?」






と、ニキビだらけのすっぴんで、顔面偏差値は普通以下、




実年齢35歳だけど、見た目は45歳の老け顔、




着古したスウェット姿の、どう見てもモテない女に気を遣いながら男性関係の調査をしてくれた。







私「一回もありません。何なら男友達もいません。」





吉本さん「前勤めてた会社とか、お客さんとかで嫌な男の人はいなかった?」






私「専門学校の通学中と、先月散歩中に知らない男に自転車で付きまとわれました。」






吉本さん「専門学校の時は警察には行った?」





私「その時私は、その人が私の学校の中まで入ってくると思わなかったので、発見した事務の方がもう来ないように対処してくれました。」






吉本さん「その人とは似てない?」






私「全く違う人です。」






吉本さん「自転車の人とは似てない?」




*自転車の男は、直接何もされなかったが、つきまとわれた当日に、父が強引に警察に連絡した。




私「全く似てません。」





私が吉本さんと事情聴取をしている間、



サスペンスのTVドラマのように、



鑑識の人や、カメラマンが、



家のそこらじゅうの写真を撮り、



足跡を調べたり、指紋を採取していた。







私はこの光景を見て





「一体何が起きているんだろう…………
何かの間違えか、夢でも見てるんじゃないの?」





と、現実から目を背きたくてしょうがなかった。