男が出ていった後、私はしばらく自分の部屋から動けなかった。







「アイツを追いかけてぶん殴ってやりたい。でもまた家に戻ってきて殺されるかもしれない。」と思い、






2階の廊下に置いてある、使用済みのナプキンを回収したゴミ袋が、廊下にあるのがものすごく嫌だったので、





ゴミ袋を1階まで持っていき、玄関の鍵を閉めて、換気のために網戸にしていた窓も全て閉めて、鍵をかけた。






私はこの時、非常に悩んでいた。








普通ならば、110番通報する。




ただ、通報するとアイツに写真をバラ撒かれるかもしれないし、




通報したと分かって、今度こそ私を殺しに戻って来るかもしれない。






いっそのこと警察には通報しない。





誰にも何も言わなければ、あたし以外の家族は嫌な思いをせず、何もなかったように生活できる。





ただその場合、一生隠し通すつもりでやらなければいけない。





私はきっと何もなかったように振る舞えず、2、3日で本当のことを話すだろう。






そうすると父に「何でもっと早く言わなかったんだ!!」と怒鳴られるだろうと思い、






気が動転していた私は、懸命な判断が出来ず、






110番通報より先に、






外出先の母に電話した。