私は、生きていた中で一番力いっぱいにひじ打ちをしたつもりだったが、
男は何もなかったように、びくともしなかった。
私はこの時、
「コイツに抵抗しても無駄だ。あたしはコイツに殺される。」
と思い、大人しく男の言うことを聞くしかないと思った。
男は、網戸にしてあった部屋の窓を閉め、カーテンも閉めて、外に私の声が漏れないようにした。
家中の部屋の窓は、この時全て網戸になっていたのに、
なぜ私の叫び声が近所に聞こえていないのか、不思議で仕方なかった。
私は過呼吸を起こしながら男に、
「ここにはお金は無いんです。別の部屋に行かないと........」と、
「殺されたくない。」
「早く出てってもらいたい。」
という思いから、金だけ渡してさっさと出てってもらうように必死で訴えた。
しかし、男は私の予想外の行動に出る。