柿食ふや遠くかなしき母の顔  波郷


柿は国果といわれるほど日本人に愛され、

種類も多くそれぞれの特徴を大切にします。


柿の学名は、Diospros Kaki Thunberug

(ディオスピーロス カキ ツンベルグ)

というそうです。


ディオスはゼウスの事でギリシャ神話に

出てくる最高の神様です。


神様の食べる果物、神様が食べるように、

美味しいということでしょうか、


日本の柿は少し固めで甘味の中に、

サクッとした歯触りが最高という人もいれば、

熟したゼリー状の感触が答えられないという人もいます。


いや柿は糖度を増す干柿がいいと千差万別です。


江戸の頃柿はすでに種類によって、

諸国の名産として出回っていたようです。


毛吹草(松江重頼 正保2年 1645年)に、

『山城国の筆柿、嵯峨の木煉柿、山城の渋柿、

宇治の円柿、大和国、禰宜屋敷の木煉柿、御所柿、

伊勢国、川俣国の串柿、安芸の国の西条柿』

と続きます。


御所…甘柿のルーツは御所といっても

過言でない代表品種です。

江戸時代から善次丸と並んで広く栽培されました。

原産地は奈良県の御所でこの名が生まれました。


善次丸…特に江戸っ子に愛されたようで、

江戸時代を代表する甘柿。

小粒のため現在は市場性に乏しく

受粉樹として生き残っています。

神奈川県川崎の玉善寺に植えたのに始まるといわれます。

玉善寺丸、略して善次丸として流用したことから

この名が生まれたようです。


富有…甘柿の代表品種。

岐阜県巣南町居倉が原産地で元の名は居倉御所。

富有の名は明治になり農家の富があり産業として

成り立つようにとの願いから命名されました。


次郎…富有と並ぶ甘柿の代表ですが、

ひと頃ほどの勢いがないのが残念です。

原産地は静岡県森町で、

幕末に松本治郎吉が近くの川に流れてきた幼木を

育てたことに始まるといわれます。

治郎がいつしか次郎に変わったといわれます。


西条…渋柿を代表する柿で、

原産地は広島県西条でこの名があります。

昔は主に干柿洋でしたが

現在は醂柿(サワシガキ)として人気があります。


市田…干柿として人気があり糖度の高い柿です。

飴色に美しく仕上がるので贈答品としてにも利用され、

暮れにでまわります。

長野県高森の市田が原産地です。