ものあはれ屏風の鯉も瀧下がり  柳多留115


日本では鯉は縁起の良い魚とされています。


中国の故事からきています。

竜門は山西省と河西省の省境にあり、

川幅が狭まるところで、

鯉等の魚が集まる場所とされています。


その急流を登った鯉が竜になるとの話から、

立身出世にたとえます。


掛け軸等に良く見られる鯉の滝登りです。


鯉の鱗は一列に三十六枚あるといわれ、

龍の鱗は八十一枚との伝説があるところから、

中国の諺、『六六変じて九九鱗となる』

にあやかり、鯉を三六鱗、六六魚ともいわれます。


真意の程は分かりませんが、

鯉の旁の里から一里を三十六町とする説もあります。


同じ立身出世でも川柳は斜にかまえます。


『時を得て上がるは鯉の滝登り』(江戸古川柳)


『鯉を産んだで兄さん滝登り』(江戸古川柳)


裏長屋住まいの孝行娘のお鶴が、

赤井御門守に見染められ、

やがて目出度く男子を出産します。

兄八五郎も出世して武士になる話で

落語妾馬(八五郎出世)が題材です。


今は鯛に押されましたが、

昔は鯉は縁起物としてもてはやされました。


しかし、結納、結婚式、帯留めの祝いの席には

鯉は出しません。


腹部にある第五の鰭、コトドメの鰭に由来し、

子を産まず不吉というものです。


何故コトドメというのかははっきりしません。