人顔のほのぼのしろき雑煮かな  青々


すたれいく食文化の中にあって、各家庭でいまだ滅びずに

親から子へと受け継がれている食べ物の一つに、

正月のお雑煮があります。


雑煮は家庭ばかりでなく各地様々で、

それぞれ地方の特色があります。


『もういくつ上がるとぞうに聞きあわせ』(柳多留8)


最初は雑煮の餅も勢いよく焼きますが

そのうち満腹の頃になるとあまらないように

一人一人に焼く数をきいている様です。


このように関東ではのし餅を焼いて小松菜をいれる清汁仕立て。

京都は焼かないで丸餅に八つ頭、大根を入れる味噌仕立てと

異なります。


静岡辺りでは、のし餅に里芋と水菜、大根を入れる清汁仕立てで。

里芋、大根は京風に近いもの、汁は関東風と

その中間を取ったというところでしょうか。


海のない長野ではせめて正月はと塩鰤を使った鰤雑煮。


鮭の獲れた新潟では塩鮭とイクラで作った鮭雑煮と多彩で、

九州に行きますと味噌でなく清汁仕立てになるようです。


『雑煮出来やしたと長持ちをあけ』(川柳万句合 安永5年)

無事掛け取りを追い返して新年を迎えます。


『飯はよい物と気のつく松の内』(柳多留拾遺1)


『三日食ふ雑煮で知れる飯の恩』(柳多留93)

人間とは贅沢なもので僅か三日の雑煮にあきて

大げさに飯の恩と奉ります。


雑煮は南北朝時代、伊良親王が伊勢に逃れた時、

元旦に食べた事に始まる説もあります。


その他に

語源としては煮混であったとする説もあります。


滑稽雑談(正徳3年 1713年)にも、

『多雑をまじえる煮るゆえに雑煮と称するか』

とあります。