永平寺出て炎天の女体かな  楸邨


精進とは仏教語の言葉、毘梨那(ビールヤ)の訳と

言われていますが如何でしょう。


精進料理は禅宗の寺院から起こった料理であり、

仏教の教えにしたがって、

殺生戒を守って肉鳥魚貝類等いっさい使わず、

穀物野菜等で調理するところに大きな特色があります。


宗派による大きな違いはあまり無いようですが、

今日伝わっている料理は鎌倉時代以後の物がほとんどです。


精進料理はこの時代を境にはっきりと変わったようです。


この時代栄えた中国帰りの栄西、道元を初め、

新しい仏教の教えが起り、

殺生の戒めが厳しくなったからと思います。


今ひとつは栄西、道元が中国から新しく改良された

野菜類を多く持ち込んだ事によります。


豆腐も新しい技法が取り入れられたひとつで、

今までの限られた素材をはるかに凌ぐ量でレベルアップしました。


いくら修行をつんだ僧侶といっても、

一日中仏漬けでは心のゆとりも失せ、

食の願望のみが頭を持ち上げると思います。


点心、茶子(チャノコ)むねやすめと称し中間に軽食をとっても、

精神ばかりでは体力も失いかねません。


道元は典座教訓の中で、食事の大切さを説いています。


炊事の作務につくものは四季折々の旬の物を選ぶ事。

材料に見合った調理法を考える事。

材料に変化をもたせ、皆が気持よくいただけるように工夫する事。

虫や鼠に注意して保管する事。


今でも調理する人達にとって、

心がけなければならない大切な基本です。