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高校生の娘、虎子が携帯片手に親指をぐるぐるしながらネットで捜し物していました。

 

「あーーーーどうしようかなぁー」

 

と、言ってたら、くるっと振り返り

 

「ねぇママ!さーさんのプレゼントどれが良いかなぁ」

 

さーさんと言うのはいつも一緒に学校に行っているさーちゃんの事。

 

小学校の塾の時からのお友達で、あまりにも優秀で落ち着いているので、虎子はふざけてさーさんとさん付けで呼んでいます。

 

さーちゃんのお誕生日が近いから、いつも一緒に行っているもう1人、みーちゃんとプレゼントを選んでいるらしい。

 

いつもは買いに言ってるけど、今年は受験生で塾が忙しいからネットなんだと。

 

「さーさん、洋服が良いっていうんだけど、みーが選んでくるヤツ趣味合わない!」

 

今はネットで安くてもかわいい服があるようです。

若いから何でも似合うんじゃない?

 

「みーがこれって」

 

みーちゃんは大人っぽく中学生の時から大学生に間違われる感じ。

そのみーちゃんが選んだ服はものすごくフレアーが多い超ロングスカート。

 

「カーテンか?って感じでしょ」

 

みーちゃんなら似合いそうだけど、さーさんだからね。

 

さーちゃんは美人です。(みーちゃんも美人です)

 

でも、本人も回りも気付いてないのかも。

いつも地味めだし落ち着きまくっているし、お化粧したり、流行りの物を持ったりしないから。

 

行動もファッションも割とマイペースなみーちゃんとは全然違うタイプです。

 

2人ともしっかりと資格をもって社会の第一線で活躍するのでは?と予感したくなるタイプです。

のほほんとした虎子とはちょっと違う。

 

たまにこの3人の母同士で軽くお酒を飲みながら、子供の情報交換を兼ねて親睦会をすることがあります。

 

さーちゃんのママは、さーちゃんと違う雰囲気。

 

いつもニコニコ優しくゆったり、ほんわかしていて専業主婦です。

 

「さーちゃんは、どんな時でもやることはきちんとやって遅刻もしないし偉いねぇ」

と私。

 

「ほんと、うちなんて小学校の時から何考えてるのか分からなくて自由すぎちゃって。遅刻もしょっちゅう、勉強も嫌いな科目はやらないし」

と、みーちゃんママ。

 

そして、羨ましそうに

「ママとケンカしたりしないでしょ?」

みーちゃんママ。

 

さーちゃんママ、

「しないね。小さい頃から淡々としてるからそれが逆にちょっと心配よ」

 

そーなんだぁ。

いろんな心配があるもんだなぁ。

 

「でも、学校で普通にみんなと楽しそうに盛り上がっておしゃべりしてるみたいよ。虎子がよく話してるから」

 

「そういうの聞くと安心するー」

 

「そぉ?心配なんて何にもないよ!さーちゃんは」

 

そしてさーちゃんママ

「私の事、暇で家でのんびりしてる人、って思ってるのよ、さーは。

ママは何にも出来ないんだから、ってよく言われる」

 

そんなぁ。

みーちゃんママも私も一応働くママだから家にはいないけど。

 

「でもホントは、そう思ってもらいたいっていうのが私の子育ての唯一の希望なの」

 

お酒も少し回り、リラックスした雰囲気になった頃、さーちゃんママがそう言いました。

 

「えー、どういうことー?」

とみーちゃんママ。

 

「私が鍵っ子でいつも1人だったから」

 

さーちゃんママのお母様はとても忙しいお仕事だったそうです。

さーちゃんママは学校から帰ると1人でご飯を食べてたと。

お腹がすいてお母様が帰って来るまで待てなかったって。

 

具合が悪くなってタクシーで病院に1人で行って運転手さんに心配された事もあるそう。

 

中学生になったばかりのある時、家に1人で居たさーちゃんママは、どうしても天ぷらが食べたくなり、見よう見まねで作って食べました。

 

帰って来たお母さんはびっくり。

そして

 

「1人で火を使うのは危ない事。どうしても使いたいならキチンと教えるね」

 

と言い、火を使う時の注意から焼き物、天ぷらまで、丁寧に教えてくれたそう。

 

だから、ますます何でも1人でできるようになり、何でも1人で淡々とこなしてた、と。

 

「?!」

 

顔を見合わせるみーちゃんママと私。

 

「それって…さーちゃんみたい」

 

家事ではないけれど、気分に振り回されず淡々とやるべき事をやる。

 

実はさーちゃんはママにそっくりだったのですね。

 

「母はそれで仕方無かったと思うけど、私は子供中心で生活したかったの」

 

「そーかぁ」

 

さーちゃんママのお母様も辛かったろうなぁ。

ママの気持ちとか、いろいろ感情移入してしまって、みーちゃんママも私もうるうる…。

 

「だから、さーに、ママは何にも出来なくて暇でしょ、って言われると、ほっとするの」

 

「私はできれば家に居たいけど、ダンナの家が、女性がバリバリ働く家系なもんで、その家風みたいなものを娘に受け継がせなきゃいけないかな、って感じで働いてるんだよー」

 

と、みーちゃんママ。

 

その影響もあってか、みーちゃんは世界に役立つお仕事を目指していると言います。

 

ママの想いは娘は知らず。

それぞれ形は違っても、娘への愛に溢れているのは同じだなぁ。

 

私は虎子に

「ママは忙しいぞー」

って少しは思って欲しいけどなー、なんて事は冗談ですが。

 

虎子はよく見ているし私の状況の程度は分かってる。

分かっていても

「ママは元気だから、大丈夫!これ手伝ってー!」

 

って言ってる、甘え上手な末っ子か。

ま、そう思ってもらえるように私がしてるのかもしれないな。

 

さーちゃんのお誕生日の夜。

虎子が写真を見せてくれました。

 

プレゼントをもってるさーちゃんとケーキを食べながらポーズを決めているみーちゃんと虎子。

 

「さーさんからお礼のメールも来た」

 

さーちゃんはラインではないんだって。

さーさんらしい、と虎子は笑います。

 

「プレゼントありがとう。そもそもプレゼントくれるという気持ちが嬉しい。本当にありがとう。これからもずっとよろしく!だって!」

 

嬉しそうに読む虎子。

そもそも、なんて使うのもさーちゃんっぽいね。

 

ママの想いあっての娘。

娘は知らなくて良い。

やっぱり無償の愛ですかね。

 

私もそうだったんだろうな。

なんて母を思いながら虎子の話を聞いていました。