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子供達が行っていた幼稚園はバスでお迎えがありました。
毎朝、近くの決められた場所でバスを待ちます。

虎子が幼稚園の時はもう1人、一緒のバス乗り場から乗る近所のお友達がいました。

そのお友達は、れいちゃんという4人姉妹の末っ子。
お姉ちゃんの1人はうちの息子、虎太郎とも同じ年だったのでよく知っていましたが、姉妹全員、超美人。
お母様がモデルさんみたいだし、お父様も美形だからそうなるよねーという感じ。

それにしても4人姉妹、しかもみんな年が近いってちょっと羨ましい。
母としてだけではなく、1人っ子の私として。
お姉ちゃんが3人居るってどんな感じかなぁ、と想像してしまうのです。

ある朝、バスを待っているとき、れいちゃんがママの腰に手を廻してママのお腹のへんに顔をくっつけながら言いました。
「ねぇねぇ、赤ちゃんいるぅ?」

お姉さんしかいない1番下だから、弟か妹が居たらいいなっておねだりかな。

「いるわけないでしょ」
ってママが言いそうだったので、私はその前に、


「そうだねー。いたら良いのにね」
と、フォローしたつもりでした。

ママは超スリムだし、女の子とはいえ4人の子育てはいろいろ大変そう。

今、お腹に赤ちゃんが居たらもっと大変だもんね。

そしたら、れいちゃんママ、私を見て照れたようにちょっと笑い、
「あのー。実はー。そうなの」
と。

「えっ?」

そうとは…。
そうなの?

「うっそー!ごめーん。そーなんだ。えー、おめでとうー!」

「内緒なの、内緒なの」
「内緒?」

だれに?何を?

「3人目位から実家の母に『もういい加減にしなさい』って言われて、4人目のこの子の時は生まれる直前まで内緒にしてたのよ」

えーっ、そんな事もあるのかー。

「でも、夫が男の子を諦めきれなくて…」

なるほど、それで5人目ね。
羨ましい。

「お姉ちゃん達、楽しみにしてるでしょう」

お話を聞くと、お姉ちゃん達は意外にも妹を望んでると。

なぜなら
「男が生まれたら、部屋を男女で分けることになって、狭くなる」
からだって。

全員女の子なら、2部屋を半分の人数で使えるけど、男女部屋になったら4対1になっちゃうと。

またまた、なるほどねー。

結局れいちゃんには弟ができました。
パパは大喜び、お姉ちゃん達も全員がおもちゃのように弟を可愛がって、ママがいっぱいいるみたい。
お部屋の問題なんてどこかいっちゃったでしょう。

私の父も5人兄弟。
母は11人です。

でもこの11人ってのもどうもはっきりしない。

昔ですから、親の居ないかわいそうな?近所の子もおじいちゃんが子供として育てていたと、言っているいとこもいますが、もっと多いという説もあり。
それもはっきりしません。

叔母達が亡くなって、いとこ達が戸籍を取り寄せて見てもよくわからないのです。
戦争前後で戸籍も適当?なんて事あるんですね。

面白いのが、小さい頃から私が
「お母さん達は何人兄弟?」


と聞くと、叔母と母が慌てて声を潜めて


「そんな事、大きな声で言わないで!人に言わないでね」
と言われていました。

そして
「7、8人ぐらいに言っておいて」

そんな!

子供の私としては兄弟多いってちょっと自慢に思うのに、どうして内緒なのか分からなかったなー。

れいちゃんのママが
「内緒なの」
って言ってるのを聞いてその事を思い出しました。

今は私も大人ですから、少しは分かりますが、そんなもんかなぁ、と思います。

母は7人~11人かそれ以上?の兄弟のうち、1番下の末っ子なので、れいちゃんの家の男の子のように、家族皆にすごく可愛がられたんだろうとずっと思っていました。

でも、母から小さい頃のエピソードは聞いたことがなく、小学校の頃に学校から帰ってきたらがお母さんが台所で倒れているのを見つけて、そのまま亡くなったというのだけ聞いた事がありました。

去年何かの話を母としている時

「子供の頃は、兄弟みんな先に大人になってどんどん家を出ちゃってたから、結婚したお兄さんの家族とお父さんと住んでた時期が長くて、なーんか居場所がなかったわねぇ。お母さんも早くに死んじゃったし」

とぽつっと言いました。

「へぇー、そうだったの。兄弟でにぎやかじゃなかったんだ」
「ぜんぜん。なんかいつも1人で寂しかったわねぇ」

へぇーーーそうなんだ。

意外。
それに初耳。

「だから、虎白は絶対に寂しくないように育てようって思ってた」

何気ない会話ですが、母のそんな私への思いを聞いたのは初めてです。

内心びっくりでした。

あまり深くいろいろ考えるタイプではない母ですが、そんな風に思って子育てしてくれたんだ。
確かに私は、寂しかった事は1度もないな。

今は父が亡くなって母は実家で独り暮らし。
私はなるべく週、何回か様子を見に行きますが、大分、体も気持ちも弱くなっている様子です。

寂しくないように育ててくれた母に寂しい思いをさせないようになんとか頑張りたいなと改めて思う一言でした。

 

次は1人っ子仲間のお話を。