国が司法修習生に給費する60年間続いた制度が終わることになってしまいました。 | 橘秀徳 オフィシャルブログ Powered by Ameba

国が司法修習生に給費する60年間続いた制度が終わることになってしまいました。

 本日の衆議院法務委員会で、裁判所法の一部を改正する法律案が採決され、賛成多数で可決されました。司法試験の合格後、国が司法修習生に給費する60年間続いた制度が終わることになってしまいました。

 法曹を志す人は、4年生の大学に加え、高い授業料を払って、2年あるいは3年の法科大学院を修了しなければ、司法試験を受験できなくなりました。この段階で借金をしている人の平均借金額は358万円。この上、さらに司法修習の貸与制は、さらなる経済負担となります。

親からの経済的な援助を受けられる人と、そうでない人の格差は拡がる一方です。お金持ちの家に生まれないと裁判官、検察官、弁護士になれない制度に、司法という三権の一角を担う重要な職業に就けない制度に改めることに私は反対の立場です。

 よって、正直言って、この法案に、賛成するか、造反してでも反対するか、迷っていました。今回の政府提出の法案に対して、当初は公明党からは給費制を延長する修正案が出され、その後、民主党、公明党、自民党の実務者協議を経て、民主党から修正案が出され、本日可決しました。

 可決された修正案には「修習資金を貸与する制度については、・・・司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ、検討が行われるべきものとすること」という文言があります。

 提出者辻恵衆議院議員は委員会質疑で、この法文について問われ、「給費制に戻すことを排除しない。」「経済的な事情で法曹を目指すものがその目的を断念しないよう・・・」と答弁されました。この答弁を聞き、私も修正案を踏まえ、法案に賛成をした次第です。

 開かれた法曹を目指した改革は、当初描いた理想とは全くかけ離れたものとなりました。当初7割程度を目指した合格率も低下の一方、司法試験合格者5名以下の大学院が23校と31%を占めます。政策ミスは明らか。法曹を目指す若者にしわ寄せがいくことはあってはならないことです。

 5月21日には日本大学法学大学院、中央大学法科大学院に視察にうかがいました。見学させていただいた授業等、随分特色が異なる両校ですが、学生さん達の意見は共通していました。

日大大学院では、出席いただいた6名中5名の学生が授業料が高いと答え、中大で3人兄弟で3人が大学院に行った方の苦労をうかがう等、両校で経済的な負担の大きさを言われました。3回限定の受験の問題点等、多くの御意見をいただきました。

 従来関係大臣の申し合わせの形で作られた法曹養成フォーラムは、貸与制の賛成派が多数を占めていました。今後は、新たに閣議決定でできる合議制の新組織で、給費制の復活も排除せず、見直しの議論が行われますが、人事は重要となります。

 大口善徳議員が「修習しなければ弁護士になれない国で、給費制じゃない国が(日本の)ほかにあるのか?」との質問に大臣は答弁できませんでした。本来は法曹養成フォーラムできちんと調査しておくべき課題。

「法曹養成フォーラムの検討内容に新たな合議制の組織は拘束されない」との修正案提出者黒岩宇洋議員の答弁もありました。今後、きちんと諸外国の事例を調査し、経済的な事情で法曹を断念することがないよう、きちんとした報告が出ることを心より期待します。

三権の一角を占め、国民の人生に、権利に大きな影響を与えるる法曹の養成は本当に重要な課題。政局ばかりが報道され、この問題がほとんど報道されたないことは残念です。

 今日の委員会室では、法曹の卵達が真剣に傍聴されていました。給費制のピリオドにお詫び致します。リベンジ目指し、活動を続けます。