『高層の死角』
森村誠一 著 講談社文庫 刊
を読みました
江戸川乱歩賞受賞作品です

日本一~二を争うホテル王が自宅代わりの自社ホテルの自室スイートルームで殺害された
オートロックの部屋の鍵は部屋の中から見付かり
最後に見たメイドも部屋の中にあったと証言して居る
合鍵はフロントとマネージャーそしてフロアマネージャーの三つしか無く持ち出された形跡も無い
云わば密室での殺人事件だった
最も疑われた美人秘書は殺害時間は警察官と共にあり完璧なアリバイ
そんな中で第二の殺人事件が博多で起こる
容疑者の男は微妙なアリバイながら東京━博多間の移動手段は航空機しか有り得ないが
どの航空便からもそれらしい足跡は見当たらない
果たして事件の行方は…

事件全体は半分も読めば犯人はほぼほぼ確定して居ます
しかし第一の殺人の密室の謎と第二の殺人のアリバイトリックが最大の謎なのです
作品全体が現代的なトリックなので現代的本格推理小説と云った処でしょうか

この本は中学生の頃に読んで
そのアリバイトリックに唸った記憶があります
後に西村京太郎が得意とする時刻表を駆使したトラベルミステリがあり
コレの元祖とも云える作品は松本清張の「点と線」ですが
この中間期の名作と云える作品です

江戸川乱歩賞と云えば推理小説の新人賞的なポジションですが
森村誠一氏のこの作品は新人とは思えない完成度の高い作品です