- 時計館の殺人 (講談社文庫)/綾辻 行人
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綾辻行人さん『時計館の殺人』です。
【内容】
館を埋める百八個の時計コレクション。鎌倉の森の暗がりに建つその時計館で十年前一人の少女が死んだ。館に関わる人々に次々起こる自殺、事故、病死。死者の想いが時計館を訪れた九人の男女に無差別殺人の恐怖が襲う。凄惨な光景ののちに明かされるめくるめく真相とは。
ご存知『館シリーズ』のひとつ。時計狂の建てた珍妙な館・時計館。古今東西のありとある不思議な時計が蒐集されたその館で今回の惨劇は起こります。館には幽霊が出るとのもっぱらの噂。その噂を聞きつけてやってきた、オカルト雑誌の編集部のメンバーと、大学の超常現象研究会のメンバー、館に住まう霊を呼び出そうと交霊会を行ったそのときから、彼らを魔の手が襲い始めました。ひとり、またひとりと殺されていく中、事件はどうやら10年前にこの館で起こった出来事と関係があるということが判明。しかし、どうして彼らは襲われねばならないのか。犯人の真の狙いはどこにあるのか。そして、そもそも犯人は誰か。最後の最後までどんでん返しの連続。館シリーズでも1,2を争う面白さです(ちなみに僕の一番は十角館の殺人ですね)。
非常に趣向の凝らされた作品です。時計館の中に囚われた9人のパートとは別に、時計館を外から調査する探偵もどきの小説家のパートがあります。ホラーパートと、ミステリーパートのような感じで分けられていて、中と外と両方から核心へと迫る展開に、読者はまさに手に汗握るでしょう。
しかし、綾辻さん、本当に『そして誰もいなくなった』的なノリが好きですね。じゃんじゃん人が殺されていく姿は何か爽快さすら感じます。もうこれ以上殺されちゃったら犯人いないだろう、と危惧を覚えるまでに極限的な状況にいきますからね。けれども、それが最後には、また実に突飛に、だが、論理的に解決される。そのカタルシスがファンを魅了し続けているんでしょうね。解決篇を読んだときは、思わず「ほーーーーー」と深く納得させられます。
実に推理マニアの興味をそそられる解決が提示されます。叙述トリックというのは、まさに、本という媒体の特徴を活かしたトリックですが、いささか公平性に欠けるところがあるのも事実。しかし、この作品は、推理マニアに挑戦でも仕掛けるように、極めて論理的なトリックが用意されています。時計館という建物自体が、空から見たとき、大きな時計のように見えるところからして、もう妖しい匂いがぷんぷんしますが、もちろんその妖しさを期待外れに終わらせない超絶トリックが用意されています。まあ、これくらいでは全くネタバレにもなっていませんのでご安心を。ヒントにもならないでしょう。
腕に覚えのあるかたは、ぜひ推理を試みてください。