レビューへと入る前に、昨日の夜、サトシさんのブログで当ブログを大きくご紹介いただきました。ありがとうございました。サトシさんは、類稀なる感性を持った方です。私、笑い男も、毎回拝見させていただいております。その強烈な個性に圧倒されること間違いなしです。
  サトパラは川をさかのぼる★


それではレビューへ。
微睡みのセフィロト (ハヤカワ文庫JA)/冲方 丁
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沖方丁(うぶかたとう)さん『微睡みのセフィロト』です。

【ストーリー】
従来の人類である感覚者(サード)と超次元能力をもつ感応者(フォース)との破滅的な戦乱から17年、両者が確執を残しながらも共存している世界。世界政府準備委員会(リヴァイアサン)の要人である経済学者が、300億個の微細な立方体へと超次元的に“混断”(シュレッディング)される事件が起こる。先の戦乱で妻子を失った世界連邦保安機構(マークエルフ)の捜査官パットは敵対する立場にあるはずの感応者の少女ラファエルとともに捜査を開始するが・・・。

天才的な能力をもつ少女ラファエルと妻子を殺されたトラウマに苦しみながら生きる男パット、パットは少女の能力を信頼しながらも、心の片隅ではどうしても反発を覚える自分を発見します。この物語は狂気に取りつかれた犯人との死闘を描いたハードボイルドサスペンスですが、同時に、ひとりの男の精神的葛藤を丹念に描いた作品です。

沖方さんは、『天地明察』が本屋大賞に選ばれたこともあり、一躍「時の人」となった感がありますね。すでに評価の高い作家ではありましたが、より多くの人に沖方さんを読んでもらえることは、僕も、昔から沖方ファンなので、とても嬉しいことです。しかし、僕が『天地明察』を読むのはまだまだ先になりそうです。他に読むべき本がまだたくさんあります。

緊張感に満ちた硬質な文体、細部に渡るまで丹念に構築された沖方ワールドには、驚くしかありません。明らかに現実離れした世界の中で、著者によって考案された特異な世界法則に従い、物語は展開するのですが、全然違和感なく読めるていくのが不思議です。「跳躍追跡」とか「結節」とか「胞体所持」とか、もう、とにかく造語のオンパレード。でも、なぜだかそれもすんなり受け入れられるんですよね~。

作家・沖方丁の原点である本作を、『天地明察』の後に読んでみるのもいいと思います。