NHK大河ドラマ、鎌倉殿の13人で市原隼人さん演じる八田知家こそが小田家のルーツであり、

常盤国の初代守護職に就くなど名家でありながら、1300年代初頭にはその守護職も失っているようです。

また、「神皇正統記」で知られる北畠親房は、7代小田城主治久の招きで執筆したと言われています。

その後、一進一退を続けながら、小田家の最後の小田城主、氏治さんへとつながっていくのです。

 

実はおだ姓でも、かの有名な織田信長より、小田氏治のほうが家柄でいうと名家であると言えます。

小田氏治の野望・・・そんなゲーム有っても面白いと思いますが。

 

さて、氏治さんの父親でもある政治氏は大変有能な武将で、没落した小田の旧領土を回復すべく勢力を拡大させていきました。

その父親の政治氏は、堀越公方・足利政知の子で、室町幕府第11代将軍・足利義澄の弟と言われていますが、実際は「小田事蹟」にあるように小田氏第13代当主・小田成治の実子(三男)であるとする方が有力と思われます。

 

政治・氏治親子は、シミュレーションゲームでは非常に能力の低い武将の代表格となっていますが、私はそうは思っていません。

特にお父さんの政治氏は勢力を拡大させた事から、非常に有能な城主であったことは間違いないと思います。

 

さて、最近「不死鳥」ともいわれている、ひそかに人気の氏治さんですが、代々受け継がれてきた平城の小田城を守らなければならないという相当な使命感があったものだと思われます。

小田城を視察しましたが、守るには非常に厳しいと思われます。幾度の戦いで城は守りを強化されていったようですし、戦国時代には近くの小山に前山城があり堀でつながっていたと言いますから、総がかりとは言わないまでも、佐竹氏の支配時代にはそこそこな城であったことは間違いないと思います。ただ、前山城も意味合い的には詰めの城もしくは見張り台的な意味合いが強いように思われます。実際、ここに籠るというよりは、部下の城に落ち延びることが多かった事からも、さほどの重要性は持たない城だったと思われます。

 

そういう意味でも、発掘調査で分かるように、6層にも及ぶ遺構を考えるとやはり、軍事的にも政治的にも重要拠点であった小田城を随時整備していったのだろうという事は想像できます。

 

さて、そんな歴史を背負った氏治さんですが、初陣が相当かわいそうで、1546年の政治の代に参戦した「河越夜戦」でした。

圧倒的有利と言われた関東管領上杉・古河公方足利連合軍に味方したものの、連合軍が後北条に奇襲で敗れた(日本三大奇襲戦)ため、とてもアンラッキーな初陣となってしまったようです。(初陣って実際は勝ち戦で飾る儀式みたいなものなのですがね・・・)

1548年 主となった氏治さんですが、不運は続きます。この年に小田家の将来を決定づける一大事件が起こってしまいます。

小田氏配下の猛将、真壁城主・真壁久幹が結城家に寝返ってしまうのです。

さらに、元々は同盟関係で結城家に対抗していた多賀谷氏が、結城政勝に降伏し、以後小田家と領土争いを行う事になるが、単独での多賀谷家にはさほどの力は無かったようです。それについては、小田家に与する豊田氏の援護も相当な影響を及ぼしていたのだと思います。ただし、その豊田氏も1577年に滅亡してしまいます。

1555年 佐竹氏・小田連合軍は、結城家に攻め込むが、北条軍の援護を受けた結城家に押し返されてしまいます。逆に、

1556年 小田領海老ケ島城に攻め込んできた結城・北条連合に対し、小田城から援軍を派遣した氏治さんでしたが、なんとあろうことか、海老ケ島城のみならず、本拠小田城すら奪われてしまうのです。氏治さんは仕方なく、配下の名将、土浦城主 菅谷政貞氏を頼ります。

関東北部進出をもくろむ、北条家が佐竹氏に睨みを利かせる中、小田家と北条家は和睦します。結果、結城家は孤立し、1対1の大名戦なら結城家よりも小田家に軍配が上がります。この年に、小田城・海老ケ島城を奪い返します。菅谷家の貢献力が大きい事がうかがえます。

1558年 今度は佐竹家が多賀谷家と共に小田領海老ケ島城に攻め込んできます。北条家と結託した小田家に対する攻撃でしょう。元々は佐竹家と小田家は親族で、佐竹家16代当主義篤の妻は氏治からする叔母さん(小田家の女性)という事になります。小田氏の裏切りととらえ、攻め込んできましたが、今度は氏治さん、多賀谷氏の居城下妻城を攻めます。しかし、この黒子の戦いも佐竹の援軍をうけた多賀谷氏に押し切られ、氏治さんは敗れ、またもや本拠小田城を奪われてしまい、再度土浦城主 菅谷政貞氏にお世話になります。

1559年には、その菅谷政貞氏がまたもや、小田城を取り返してくれます。その年、氏治さんは結城家の結城城に攻め込みます。

ところが、またもや結城家・小山家・真壁家の反撃にあい、北条城落城、さらに佐竹・多賀谷連合軍に海老ケ島城を奪われてしまいます。4家の同時侵略を招いてしまっては太刀打ちできません。ただし、この時は小田城は死守しています。

 

攻撃に出ているのに、なぜか領土を奪われる・・・氏治さん、確かに勇猛果敢に攻めていきます…決してゲームのような低い数値の武将ではないと思いますが・・・苦笑

 

 続