初めて大衆演劇を見たのは、2016年の12月。

ですが、がっつり見出したのは2017年の8月くらい。

それから、なんやかんやで6年以上大衆演劇を見続けております。

一時は、寝ても覚めても観劇観劇、家よりも仕事場よりも劇場にいる時間の方が長いんじゃないかと言われるほどの、観劇中毒者でありました。

そんな幸せな時間が永遠に続く訳もなく、事業の倒産、二度の転職、家族の大病と、なかなか観劇もできなくなってしまいました。

いっそのこと、ぷっつりと観劇をやめてしまおうかとも思いましたが、気がつけば劇場に向かっておりまして、大衆演劇にはやめられない魅力というか魔力が確かにあります。


観劇依存症だなぁとひとりごちた時、ふと頭に浮かんだのは、大好きな作家の一人である中島らもさんの「今夜、すべてのバーで」でした。

アル中が原因で倒れ入院した主人公を通して、らもさんの人生観、死生観を語った長編小説です。

私も多大に影響を受け、これまで生きてきました。

人とは何かに依存せずには生きられないのだと。

その小説の中に、井伏鱒二氏の「勧酒」の訳が引用されています。

この盃を受けてくれ

どうぞなみなみつがしておくれ

花に嵐のたとえもあるぞ

さよならだけが人生だ

ってな

勧酒という詩には、様々な解釈があるかと思いますが、私はこの本で初めて知ったのもあって、いつ本当の別れが来るのかなんて、誰にもわからないのだから、目の前の酒を楽しまなくてどうするという刹那的な捉え方をしております。


観劇中毒者だった頃のように、破滅に近づくような観劇はできなくても、自分が楽しいと思える観劇のスタイルを見つけて、観劇を続けるのもまた、依存症の形として受け入れてもいいのかなぁと考えが変わりました。


ブログのタイトルは、らもさんの小説のタイトルをもじりまして、全国津々浦々で公演されているすべての劇場に思いを馳せました。


この先短いかもしれない観劇の備忘録と、劇場で感じたことなどをとりとめもなく書き残していきます。



一推しの花組むらさきの二代目彩姫ちゃん。