西本智実指揮 ロシア国立交響楽団 | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

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「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。


 ソ連の崩壊後、ロシアのオーケストラ界は大変革を遂げており、しかも似たような名称で来日公演を行っている。なかには怪しげな団体もあるが、このオケは故エフゲニー・スヴェトラーノフが君臨していたオケが母体。しかし、西欧化の波と世代交代を受けており、聴いてみないと分からないのが現在の実力だ。  

今回は、二人の指揮者に率いられての来日だが、聴いたのは西本智実指揮の方。9月15日の横浜みなとみらいホール公演に足を運んだ。

プログラムは、チャイコフスキーの“エフゲニー・オネーギン~ポロネーズ”、ラフマニノフの“ピアノ協奏曲第2番”、そしてチャイコフスキーの“交響曲第5番”という、オール・ロシアプロ。

さて、最初の音が出た瞬間、アレレと早くも失望感が広がった。金管の咆哮!のはずが、何ともお上品な鳴りだ。弦が加わっても、妙に重心が高い。これがロシア国立響?と疑いたく音色だった。

続くラフマニノフのピアニストは、リリヤ・ジルベルシュタイン。ピアノの序奏に導かれてオケが鳴り出すが、ここでも何とも低弦が軽い。ロシア・オケの魅力である、ちょっとザラついた感じの土臭さも感じられない。まるで西側のオケのような“鳴り”にガッカリだった。

みなとみらいホールは、優れた音響でお気に入りなので、鳴り方もよく分かっているが、このホールでこのレベルとは…。

後半のチャイ5も、多少はマシだったが似たようなもの。西本の指揮は、スヴェトラーノフやロジェストヴェンスキーと同じく直球勝負型だが、これは剛速球が伴ってこそ面白いのであって、骨抜きのロシア・オケでは全く魅力を感じない。

平成最後の年の来日公演は、ますます昭和が遠のいたことを実感させられたのだった。