ワレリー・ゲルギエフ指揮 マリインスキー歌劇場管弦楽団 埼玉公演 | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

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「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。


 ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団の二公演目は、12月9日に、所沢(埼玉県)のミューズ・アークホールにて。ゲルギエフはこのホールがお気に入りのようで、今回が7度目の登場とか。そして、ここでしかやらないプログラムが組まれることが多い。アークホールは、ウィーンの楽友協会を現代風にリファインしたようなデザインで、音響は良好。ただし、聴衆のレベルがイマイチなのが残念。 

公演チラシで告知されていたプログラムは、チャイコフスキーの“ヴァイオリン協奏曲”とムソルグスキーの“展覧会の絵”だが、当日は各々の前に、ディティユーの“メタボール”とワーグナーの“「パルジファル」~第一幕への前奏曲”が追加演奏された。

 チャイコフスキーのソリストは、先日に続いて庄司紗矢香。お馴染みの名曲をスケール感豊かに格調高く奏でて、大きな拍手を受けていた。この人の音色は、ロシアのオケともよくマッチし、テミルカーノフなどロシアの巨匠に愛される理由が分かる気がする。

 メインのムソルグスキーは、これを聴きたくて所沢まで遠征してきたのだ。冒頭のトランペットからしてシビれた。ここでも、歌劇場付オーケストラならではの歌心と、ドラマティックな描写が冴えるが、ゲルギエフの指揮はちょっとテンポを揺らし過ぎの感あり。当然のように“キエフの大門”は派手に盛り上がって終了。

 アンコールは、チャイコフスキーの“花のワルツ”。先日、フェドセーエフの指揮で、堂々たる「聴くためのワルツ」を聴いたばかりだが、このコンビがやると、まさに「踊るためのワルツ」になる。目を閉じると踊り手の映像が浮かんでくるようだった。この日の公演も2時間50分コースだった。