2月7日、METライブヴィーイングの3作目、『アマゾンのフロレンシア』(スペイン語)を鑑賞した。
ダニエル・カターン作曲。MET初演。
スペイン語で上演されるオペラは100年振りだとのこと。
映画館は非常に空いていた。現代音楽だし、初演だし。
今回、禄に予習もせずに映画館に出向いたのだが、期待を上回る演目と演奏で大満足
南米コロンビアのノーベル賞作家、ガルシア=マルケスの世界(”呪術的レアリズム”)からインスピレーションを得ているらしい。
アマゾン川を行く遊覧船で知り合った若い男女。女は、今や、有名な歌姫になって、幻の蝶を追ってアマゾンの奥に分け入った男を追って、アマゾンに戻ってきた。
舞台は、終始アマゾン川。
アマゾン川流域に生息する生物(ピラニア、サギ、ワニ、蝶、ハチドリ、ハスの花?)等が人間の形をとって舞台に現れる。色鮮やかな衣装を身につけて。さらに、操り人形のサルまで出てきて、笑いを誘っている。
演出家のメアリー・ジマーマンによれば、”観客を一瞬たりとも飽きさせない”舞台を目指した、という。
案内役は、R.ヴィリャソン(テノール)。メチャメチャ明るくてお喋りで、表情豊かで、彼を見ただけで笑ってしまう。
ヴィリャソンも主役のアイリーン・ペレスもメキシコ人。本当に二人とも明るい。笑顔がいっぱい
歌手陣はすべて素晴らしかったので、個々に述べることはしない。特に、ソプラノの二人、アイリーン・ペレスとカブリエラ・レイエスは出色の出来。
ただ、映画館でもらった紙片にも乗っていない歌手として、船長を演じたグリア・グリムスリー(バス)を挙げておきたい。
彼の顔をみてすぐに思い出した。
METライブヴィーイングの『ワルキューレ』において、ヴォータンを演じた人だ!
先日聴いたばかりのペルートゥージの柔らかいどこか温かいバスとは違い、もっと男性的で家父長的なバス。
恰好いい!!
音楽はアマゾン川の流れを連想させるゆったりとしたメロディーで、不協和音の現代音楽、という感じではなかった。
日本人にとってのオペラって、どうしても言語の面で隔靴搔痒の面があるけど、スペイン語は若干理解できるので、意味が分かるオペラの素晴らしさを体感できた公演でもあった。
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:メアリー・ジマーマン
フロレンシア・グリマルディ:アイリーン・ペレス
リオロボ:マッティア・オリヴィエリ
ロサルバ:ガブリエラ・レイエス
アルカディオ:マリオ・チャン
パウラ:ナンシー・ファビオラ・エレーラ
アルバロ:マイケル・キオルディ