2月4日(日)、新国立劇場にて、ドニゼッティの『ドン・パスクワーレ』を鑑賞した。

 

 

結論から言うと、満足度の高いとても良い公演だったラブラブラブ

 

なのに、今回の公演回数は3回だけ。なんと勿体ないビックリマーク

 

 

ドニゼッティの喜劇は、『愛の妙薬』もそうだけど、ドタバタ喜劇じゃなくて、筋が割とシンプルで分かり易い。

 

ものすごい速書きで有名なドニゼッティだけど、『ドン・パスクワーレ』は粗製濫造という感じは微塵もなくて、キャッチーなメロディが随所に散りばめられている。

 

ドニゼッティが現在に生きていたら、ヒット曲連発の超売れっ子作曲家になっていただろう。

 

 

どうしてもっと演奏回数が増えないのか不思議。

おそらく、有名じゃない(集客力が弱い)上に、演奏自体も難しいからじゃないかな、と思う。

 

 

コロラトゥーラの技量を要するノリーナ、ドン・パスクワーレとマラテスタの超絶早口言葉、エルネストのハイトーン、等。

 

この演目を日本人だけで演じるのは相当難しいんじゃないだろうか。

 

 

ドン・パスを演じたペルトゥージは素晴らしかった。多分、日本人体型ではまず出せない、豊かで深く、そして柔らかいバス。こういう声を聴くと、やっぱり大和民族とオペラとの相性はあんまりよくないのかな、って思っちゃう。。。

 

おそらく、ペルトゥージ自身の人柄も相まって、温かみのあるドン・パスだった。

 

 

ノリーナを演じたラヴィニア・ビーニ。

 

登場シーンでは、高音が完全に上がり切らない感じだったのだが、その後のシーンでは軽やかなコロラトゥーラを響かせていた。

 

ノリーナだったら、日本人でも通用するソプラノはいると思う。

 

 

エルネストを演じたガデルは見たことがあると思ったら、やっぱり。以前、『ドン・ジョバンニ』のオッタービオを演じたテノールだった。こっちの息が止まりそうなロングブレスを鮮やかに決めていた。

 

10頭身と思われるほどの小顔で細身。軽い声のリリックテノールで、喜び、怒り、悲しみと感情の起伏の激しい役を(やすやすと)演じてみせた。

 

 

狂言回しのエルネストを演じたのは、上江隼人。

 

上江は過去、新国立劇場の『チェネレントラ』(ダンディーニ役)で見て、体形とも相まって、コミカルな演技が印象的だった。

 

今回は、イタリア人でも難しい(だろう)早口言葉をペルトゥージと供に披露していた。ブラボー!!

 

 

舞台も、折り畳み式の家の構造だったり、舞台いっぱいに設置された長いキッチン前を召使たちが全力で疾走する場面だったり、目を楽しませる工夫が随所にされていて、思わず笑みがこぼれた。

 

この暗いご時世に、”喜劇”っていいな〜、と心から思った次第です。

 

 

宝石赤宝石赤宝石赤宝石赤宝石赤

 

今回、初めての、3階サイド舞台よりのC席。

手前側が見切れるのと、手すりが視界に入るのが難点だけど、後ろに席がないので、前に乗り出しても特段問題ないのは、ありがたい。

 

クローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバー

 

指揮:レナード・バルサドンナ

演出:ステファノ・ヴィツィオーリ

管弦楽:東京交響楽団

 

ドン・パスクワーレ:ミケーレ・ベルトゥージ

マラテスタ:上江隼人

エルネスト:フアン・フランシスコ・ガデル

ノリーナ:ラヴィニア・ビーニ