1月28日(日)、東京文化会館で、藤原歌劇団の『ファウスト』を観賞した。
このブログを書いているのは、2月2日。その時点で、一体何を観賞したのかほとんど思い出せないくらい印象の薄い公演だった。
四日前の24日に観た『オネーギン』(新国立劇場)が素晴らしい公演だったので、そのインパクトの陰にすっかりかき消されてしまったということもあるかもしれない。
”闇”を表すとかで、舞台がずっと暗かったからかもしれない。
なにせ、最初から最後まで眠くて眠くて。。。
3時間の間、一度も私を覚醒させるような声に出会わなかった。ほとんど睡魔と戦っていたような公演だった(笑)
だから、本当は、私には感想を書く資格がない
ファウストの澤崎一了もマルグリートの迫田美帆も、以前、聴いたことがあった。
お二人ともなかなかいい歌唱だな~、と思った記憶がある。
特に澤崎一了は、2021年9月、『清教徒』のアルトゥーロ役で聴いて、良いテノールだな~と思った記憶があったので、今回の公演も楽しみにしていた。
私は絶対音感が無いので、分からないのだが、『ファウスト』の第3幕で歌われる「清らかな住まいよ」の終盤に”ハイC”を出す場面がある(らしい)。
ということで、期待して待っていたのだが。。。
ウン???
これがハイC???
もしかして裏声???
聴き手の脳天に直接衝撃を与えるようなテノールの高音とは別種の声。。。
だれか、声楽に詳しい人、教えてください。
そもそも、どうして、日曜日の公演を選んだかというと、土曜日のダブルキャストに、村上敏明の名前があったからである。
じつは、村上敏明は、2021年7月、新国立劇場の『カルメン』(ドン・ホセ役)を聴いて以来、遠慮したいと思う歌手の一人なのである。
私のオペラ鑑賞歴も丸6年となり、それなりに耳が肥えてくると、弊害も出てきた。歌手の名前を覚えてきて、最初から当該公演を敬遠するようになったのである。次第に観たい公演がなくなっていく。困ったものだ。。。
それでも最後はたくさん拍手がいっていたので、満足した観客も多かったのでしょう。
でも、一番拍手が多かったのは、皮肉にも、バレエダンサー達であったという事実が、公演の出来を物語っているように思う。
指揮:阿部加奈子
演出:ダヴィデ・ガラッティー二・ライモンディ
ファウスト:澤崎一了
メフィストフェレス:伊藤貴之
マルグリート:迫田美帆
グノーの『ファウスト』を初めて鑑賞したのは、2019年の9月、英国ロイヤルオペラの引っ越し公演でのことである。
藤原歌劇団と比べるのはご法度
なにせ、チケット代が全然違うのだから。
でも、一言、言わせてせてもらうと
メフィストフェレスの存在感が全く違っていた。メフィストフェレスと未亡人の掛け合いなんて、まるで漫才みたいだった。
ドイツ文学者中野和朗によると、ゲーテの『ファウスト』は最高のエンターテイメントだという。
メフィストフェレスは、狂言回し。
そう考えると、ファウストもマルグリートも、メフィストフェレスの掌で踊らされる存在、ということになる。
少なくてもダルカンジェロのメフィストフェレスは、ファウストを手玉にとっていたよ。藤原のメフィストフェレス伊藤貴之は。。。(無言)
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