12月8日(金)、王子の北とぴあで、ラモー作曲の『レ・ボレアード』を鑑賞した。

 

 

「北とぴあ国際音楽祭2023」と銘打ったこのシリーズ。今年で28回目ということだ。主に、モーツァルト以前のバロックオペラを中心に演奏している。昨年、初めて『アルミード』を鑑賞し、今回が二度目の鑑賞となった。

 

『レ・ボレアード』は、ラモー最後のオペラのタイトルだが、今回の指揮者(兼バイオリニスト)である寺神戸亮が、特別編成オーケストラにつけた名称でもある。

 

ギリシア神話に登場する北風の神々で、北区から文化の風を吹き起こそうというメッセージがこめられているそうだ。

 

 

さて、今回の公演。

 

結論から言うと、アマとプロの格の違いを見せつけた公演であった。おそらく地元の方々と思われる歌手(合唱も)の皆さんに、3人のプロが助っ人に入った格好だった。

 

プロの3人は、

・カミーユ・プール(ソプラノ)

・湯川亜也子(メゾ・ソプラノ)

・与那城敬(バリトン)

 

特に女性二人が良かった。湯川亜也子は、昨年も『アルミード』に出演して、不調だった主役のソプラノをよくカバーしていた記憶がある。長身で品のある舞台映えのするメゾ。パリ在住とか。


主役のアルフィーズを演じたのは、フランス人のカミーユ・プール。小柄な体つきながら、キラキラした美声のもち主。ザンナ(フィガロの結婚)、パミーナ(魔笛)をはじめ、『子供と魔法』(ラヴェル)のタイトルロールも演じると言うことなので

、納得。

 

 

アバリスを演じたテノールの大野彰展さんは(「さん」をつけるのは、おそらくプロではないから)、代役だったようだ。

 

アバリスは本来、シリル・オヴィティが演じるはずだったのが、来日できなくなったらしい。

 

道理で!

 

失礼だけど、ちょっと聴いているのが辛かった。

 

バロックオペラは実力派が演じると、本当に素晴らしんだけど、プロでも実力のない歌手が演じると、魅力が半減してしまう。それを(おそらくアマだろうと思われる)テノールが歌うのは、かなり無理があると思う。

 

 

合唱も同じ。プロとアマの差って、ただ、歌に現れるだけじゃなくて、所作や動きにも表れるものなんだな〜、と言うことをまざまざと見せつけてくれた。(はっきり言って学芸会みたいだった。衣装も含めて。)

 

 

バロックオペラは、歌と同じくらいダンスも非常に重要な役割を果たしている。

 

今回のバロックダンスは男女二人ずつで、とても良かった。バレエの原型なんだろうな。細かい足捌き、優雅な手の動き、など、派手な動きではないけど、上品で愛らしい感じ。ルイ14世は踊りの名手だったというし、こういうタイプのダンスを踊ったのかしら。

 

 

今回は平日だったので、A席で3000円。北区からの補助もかなり出ているはず。予定通りオヴィティが来日していれば、この金額では絶対聴けないレベルの公演になったと思う。

 

「北とぴあ国際音楽祭」は、過去にも興味深い演目を演奏している:『ダイドとエネアス』(バーセル)『月の世界』(ハイドン)『ウリッセの帰還』(モンテベルディ)、等。

 

来年はどんな演目を演奏するんだろう。チケット代が高騰する中、非常に良心的な価格で提供してくれているのも本当にありがたいし、今から楽しみです。

 

 

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指揮・ヴィイオリン:寺神戸亮

演出:ロマナ・アニエル

振り付け・ダンス:ピエール=ドランソワ・ドレ

 

アルフィーズ:カミーユ・プール

アバリス:大野彰展

アダマス/アポロン:与那城敬

セミル/ポリムニ:湯川亜也子