日生劇場にて、オペラ「カプレーティ(家)とモンテッキ(家)」(I Capuleti e i Montecchi)を鑑賞した。初めての鑑賞である。

 

 

 

 

あまり演奏回数が多くない演目だが、もっとメジャーになってもいいと思う。

 

今日の観客の入りも今一つ(半分くらい?)だった。演目の知名度も影響したのだろうか。だとするともったいないことである。

 

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作曲:ベッリーニ

台本:ロマーニ

初演:1830年

 

指揮:鈴木絵梨奈

演出:栗國淳

衣装:増田恵美

 

ロメーオ:加藤のぞみ

ジュリエッタ:Oksana Stepanyuk

テバルド:山本耕平

ロレンツォ:田中大輝

カペッリオ:Denys Vyshnio

 

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グノーの「ロミオとジュリエット」は、シェイクスピアの戯曲に忠実で、若い二人の疾風怒濤のような恋がテーマだが、ベッリーニの「カプレーティ家とモンテッキ家」は、ちょっと違う。

 

タイトルが示すように、このオペラは、家と家との対立がテーマとなっている。二人は、両家の怨念に押しつぶされた、受け身の存在として描かれている。

 

 

グノーの「ロミ・ジュリ」とどこが違うかというと、

 

まず、ジュリエッタには兄がいた。

そして、ロメオは、ジュリエッタの兄を争いの中で殺してしまうのである。

 

オペラはここからスタートする。

 

 

このオペラの陰の主役は、カプレーティ家の当主カペッリオである。

 

跡継ぎの長男を失った嘆きと、宿敵モンテッキ家に対する憎悪、ロメオに対する怒りはいかばかりか、想像するに余りある。

 

もし私が台本作家なら、カペッリオに見せ場のアリアの一つも歌わせる所だが、ロマーニはそうは思わなかったようだ。残念。

 

 

このオペラに悪人は一人もいない。

 

テバルドも実にいい奴。本当にジュリエッタを愛していて、ジュリエッタの死を知った時は、責任の一端を感じ、悲嘆にくれている。(別にあんたが悪いわけじゃないよ、って慰めてあげたくなる)

 

 

一方、ロメオとジュリエッタに関しては、なぜかそこまで感情移入ができない。

 

一番大きな理由は、仇同士の二人がなぜ惹かれ合ったのかが不明であること。大事なポイントだと思うのに、オペラでは全く触れられていない。

 

ジュリエッタは、一緒に逃げようと言うロメオの誘いを一旦は断っている。娘としての義務と家の名誉のために。

 

父親に逆らうなんてとんでもないこと。彼女にできるのは、泣くことと死ぬこと。当時の貴族の娘としては、それが普通なのだろう。ランメルモールのルチアを思い起こさせる。

 

 

ロメオを担当するのはメゾソプラノ。ロメオの若さを強調しているのだろうか。それだけ、ロメオが無分別で無鉄砲ということでもある。

 

 

グノーの「ロミ・ジュリ」と比べると、台本にケチをつけたくなるけど、じゃ、つまらないかというと、そんなことは全然なく、音楽は綺麗だし、歌手の聴かせどころは満載だし、いい意味でも悪い意味でも、いかにもオペラらしいオペラという印象。

 

「ベッリーニ節」というらしいが、長い長いゆったりとした美しい旋律。ショパンが影響を受けた、というのも頷ける。そして、オペラのツボを心得ているというか、盛り上げ方がうまい。

 

 

歌手陣は突出して素晴らしいという感じはなかったが、全体的にバランスが取れていた。個人的には、加藤のぞみ(ロメオ)と山本耕平(テバルト)がよかった。

 

 

 

最後に

 

衣装をデザインした増田恵美のセンスがよく、おしゃれだった。特に、カペッリオ役のDenys Vyshnioが非常に長身で、衣装が映えた。ジュリエッタ役のOksana Stepanyukも姿が美しく、ジュリエッタの衣装がよく似合っていた。

 

二人ともウクライナ人とか。

 

何せ、ウクライナは美男美女の宝庫だからね。普通に道行く人が美男美女とか(聞いた話)。納得。