ボーカルに転向してからブランクはあったものの、ベースを始めてからもうすぐ13年になる。


俺がベースを始めてからの数年間は、かつてのようなベーシスト=地味とか目立たないとか、バンドのパート決めでじゃんけんで負けた人がするというイメージとは裏腹に、史上空前のビジュアル系ブームも手伝って花形ベーシストがシーンに登場していた。

特にGLAYのJIROさん、LUNA SEAのJさん、L'Arc~en~Cielのtetsuさん、黒夢の人時さんは、そのスタイルに賛否両論はあれど、その花形ベーシストの代名詞的存在で、彼らに憧れてベースを始めるキッズも少なくなかった。


その中でもJIROさんの人気は凄く、JIROモデルを意識して三流メーカーの青いジャズベタイプの初心者セットがよく雑誌に載ってたくらい。

このブームよりも以前からの花形ベーシストの1人として今でも人気の高い沢田大司さん(ex.X、ex.LOUDNESS、ex.D.T.R)も「最近のバンドはベーシストが個性的なバンドが多い。特にJIRO君はセンスも良い」と絶賛していた。


そんな個性的な花形ベーシストやそういったベーシストのいるバンドに今でもあこがれ続けてる俺やけど、ぶっちゃけ俺自身はベーシストとしては決して個性的な方ではないと思っている。

ベースという楽器自体が、聴覚的にはボーカルやギター、ドラムと比べて、アンサンブルの中でそのパートが何をしてるのか、どんなフレーズを弾いてるのかがパッ聞き決して分かりやすい物ではないし、役割としてもよく思わがちな地味で目立たない方であるというのもあるけど、はっきり言って俺の弾いたりアレンジを考えたりしたベースは誰でも弾けるし、特に個性的だったり凝ってたりするわけでもないシンプルでオーソドックスな何の変哲もないベース。

カウンタープレイも全く弾けない訳ではないし、ルート以外の音も弾くけど、基本的にルート主体。


R34 sariariseのライブサポートに参加し、それから派生して結成されたCRYSTAL EDGEに正式メンバーとして参加してから2年が経ったけど、それらのバンドで創作しライブで演奏した楽曲のベースプレイも本当に基本的にシンプルでオーソドックス。

俺にも好きなベースプレイや音やアプローチがあるけど、それが唯一無二の個性としての物かと言えば答えはNo。

でも、自分が自分でいられてる気がする。


それは、ベースを始めた頃にコピーしたバンドの楽曲の中でも、そういったどちらかと言えばオーソドックス目なアプローチの方が自分にはしっくりきたし、それが他のパートとのアンサンブルとしてまとまっていて、楽曲として形になっていたから。

そして、そのベース単体で聞いても弾いても心地良かった。

カウンタープレイが決して得意な方ではなかったというのもあるけど・・・(笑)。


もう1つは、ソングライティングやステージングといったベースプレイ以外の面で、自分の個性を出していきたいという意識があるから。

それに、バンド全体としてもメンバー個々の持ち味をバンドに反映させたいし、彼らの方が俺以上に実際のプレイに個性があるから、メンバーのそういった個性はもちろん、ベースプレイ以外での俺の個性に対する黒子役やカンフル剤的な役割として、俺のベースがあるというスタンスでありたいと思っている。


食材で言えば、単体では味がある物ではないけど、何の料理に使うか、どんな風に料理にするのか、どんな食材や調味料、ダシと組み合わせるかによって、その食材の味も、その料理の中での役割も変わる大根みたいなものかな。

おでんやお雑煮や味噌汁ならその味を吸収し自分の味として人気のあるネタにもなるし、スラムダンクでもあったけどかつら剥きにして細く切れば刺身の横に添える引き立て役にもなれる。


去年からクリスの活動と並行して、他の人達のライブサポートやセッションを経験する機会もあったけど、そのそれぞれによって、自分のプレイや音、役割も変わるケースが多い。

それこそ、大根のようにその時その時の味を吸収したり、あるいは影役や引き立て役になれる楽しみも覚え始めた(最初のうちはいつもやってる事とは違う事に戸惑いはあったけど)。


俺はベーシストとして決して個性的な方ではないものの、こういった事が俺のベーシストとしての“個性”ではなく、“スタイル”や“スタンス”。

今はそれが俺の“スタイル”や“スタンス”ではあるけど、もしこの先ベーシストとしての自分の個性を見いだしたら、その“スタイルや“スタンス”が“変わる”のではなく“拡がる”と思う。


また小難しい事書いてしまったかな・・・。


余談ですが、もし新しくベースを買うなら5弦ベースもいいかなと思ってたりもします。

それか4弦ベースにDチューナーを付けるか・・・。