nostalgia・・・ノスタルジア,懐旧の念,郷愁
nostalgic・・・郷愁を誘う,懐かしい,昔を懐かしむ
(小学館ブライト英和辞典より抜粋)
秋はどこか心がせつなくなる季節。
そんな時、ふと思わず過去の情景がフラッシュバックして、想いを馳せたり、忘れかけてた事を思い出したり、今の自分を見つめ直せたり・・・。
そんな懐かしい情景や想いも人それぞれ。
それは音楽においても存在する。
その曲で歌われている情景・・・その曲が生まれたあの頃・・・
その曲を聞いていたあの頃・・・その曲を聞いて思い出すあの頃・・・
今回のDAINA-ISM.主催ブッキング“ノスタルジーの旋律”は、オリジナル、カバー問わず、自分の青春がつまった思い出の曲、誰もが知っている懐かしの名曲、かつて愛した人への想いを綴った曲、まだ駆け出しの頃に作った記念すべきオリジナル曲第1号、学生時代の友達との思い出を綴った曲など、そういった“ノスタルジア”を含んだ曲を1曲でもいいからセットリストに組み入れてみるというコンセプトでした。
どこかセンチメンタルなタイトリングやったけど、それだけでなく十分に楽しめるライブになったのは出演アーティストの持ち味でもあった。
開演時間になり、LUCAの「NOSTALGIA」がBGMで流れ出した。
秋風に乗ったあのメロディが
この耳と心を撫でる
あの頃・・・あの人・・・あの想い・・・
あの光景を思い出す
あのメロディを口ずさむ
今宵
私と貴方の心に色付く
ノスタルジア
今回のライブのツインMCの俺とai toneの桜井ナオミさん2人で、フライヤーにも書かれているこの詩を朗読し、開演の挨拶へ。
そして、トップバッターはai tone。
ピアノの弾き語りでしっとりと聞かせてくれたが、SMAPのカバー「夜空ノムコウ」は後半英詞で歌われ、メロディもフェイクを入れていて、楽曲その物の懐かしさと自身の感性を盛り込んだ新しさをセンス良く聞かせてくれた。
声、メロディ、ピアノのシンプルな形でしっとりと洗練された歌と演奏で、トップからai toneの世界が広がっていたけど、曲中のMCではフランクな雰囲気で和ませてくれた。
Assyさんがドラムで絡んだバージョンも見て見てかった。
2番目は3ピースバンドPEC。
俺はてっきりバンド名の読み方が「ピーイーシー」やと思っていたけど、正しくは「ペク」だと本番中に本人たちから指摘されてしまい、MCとしてのタブーをやらかしてしまいました。
基本的にはギターの和也君がメインボーカルを取っているけど、曲によってはドラムのトモミさんがメインボーカルをとる曲もあった。
パンクやギターロックのようなシンプルなアプローチと、5弦ベースとパワフルなドラムをフィーチャーしたリズム隊が生み出す、パンキッシュかつへヴィなサウンドで、スピッツや森山直太郎さんなどの叙情感のある曲をカバーした。
懐かしの選曲と今時感のあるサウンドアプローチで、彼らならではの“ノスタルジー”を見せてくれた。
3番目はしなしなの林檎。
そのバンド名からも分かる通り、椎名林檎さんのコピーバンド(便宜上“コピー”と書かせて頂きます)。
このバンドの凄い所はコピーバンドでありながらも、オリジナル曲をやるバンドさながらにバンド単位としても、各メンバー単位としても自分達のキャラを立てて出している所。
揃いのオレンジのつなぎも、バンドとしての統一感や結束感を感じさせていた。
演奏では懐かしの曲による“ノスタルジー”、MCでは自分達のキャラを前面に押し出した“オリジナリティ”で、演奏、MC共に楽しませてくれたエンターティナーでもあった。
4番目はそふとたっち。
過去にライブを見たり、対バンをした事もある本来は4人編成のバンドやけど、今回はボーカルが全曲不動で、相方のギターのみ曲によって変わるアコースティックユニット形態。
選曲はJ-POPのコピーで、今回は大塚 愛さんとJUDY AND MARYを選曲していた。
ジュディマリの「夕暮れ」はノスタルジックでマニアックな選曲やった。
俺も高校生の頃、ジュディマリが好きでライブを見に行った事もあったので、個人的な懐かしさも感じた。
5番目はwethot。
ここでようやくオリジナル中心のアーティストの登場であるが、彼のオリジナル曲は歌詞の世界に“ノスタルジー”を感じる。
そして、その中に伝えるポジティブなメッセージがあり、聞く人の心を引きつける。
定番曲でもあり、彼のリアルな気持ちを綴っている「出逢い」はノスタルジックさとポジティブさを持った名曲。
カバー曲では中村 敦さんと尾崎 豊さんの曲を歌ってくれたが、それもオリジナルとして聞こえるくらい自分の物として昇華していたのはシンガーとして流石やった。
6番目はT.W.K
wethotと同じく、DAINA-ISM主催ライブの常連アーティストである彼らだが、今回のライブは特別な意味合いもあった。
今年の夏から、結成時からのボーカリストのSARIAさんと、新加入のボーカリストのAkkiyによるツインボーカルをフィーチャーする7人編成となったが、今回のライブを以ってSARIAさんがライブ活動休止となるので、1つの区切りともなるライブでもあった。
更にベースのゆふこさんの緊急入院もあり、ギターの大石さんが急遽ベースを弾く事になった(初期は大石さんがベースやった)。
5曲中最初の3曲でステージに立っていたボーカリストはAkkiyのみやったけど、ボーカリストとして前回以上に歌が伝わってきて、T.W.Kのフロントマンとして堂々と歌い上げていた。
4曲目になりようやくSARIAさんがステージに上がったが(それまでは演奏中に感謝の気持ちを込めた手作りのお菓子をお客さんに直接配っていた)、そこで歌われた新曲「別れのうた」はタイトルだけ見るとネガティブに想われそうやけど、歌や歌詞に込められた想いは「ポジティブな歌を歌いたい」というボーカリストやソングライターとしての願望が出ていた。
彼女が音楽活動を通して出会った人達への気持ちを綴っていた詞ではあったけど、逆に俺も含め彼女に出会ってきた人達から彼女への気持ちという解釈もできる詞でもあった。
今回のライブでは一緒にステージに立つ事は無かったけど、改めてSARIAさんと一緒に音楽活動を続けてきて良かったと思えた。
7番目はスペシャルゲストの杉山田スギオさん。
いつもは杉山田スギオとスイートメモリーズとして、松田聖子“先生”の曲をコピー(もちろん無許可)しているアコースティックバンド形態で出てるけど、今回はT.W.Kのプレイヤー陣をサポートに迎え、いつもとは違うロケンローでノスタルジーなエンターテイメントを見せてくれた。
今回ももちろん松田聖子“先生”の曲を選曲していたけど、ロックバンドをサポートに迎えての今回は「赤いスイトピー」をビートパンク調のアレンジで演奏していた。
小道具はいつものウルトラマンタロウの水筒に加え、ハロウィンに因んでカボチャのバケツまで用意していた。
おまけに、スーツのジャケットには赤い羽根を付けていた(当日は会場の近くで赤い羽根募金をやっていた)。
会場に足を運んでくれたお客さんの半分以上が、杉山田さんを見るのがおそらく初めてだったのだろうけど、そういう人達にとっては尚更インパクトが強かったはず。
俺も見るのは久しぶりやったけど、いつものネタはもちろん、新しいネタでも笑わせてくれた。
選曲はもちろん、80年代の日本のアーティストの曲の歌詞を抜粋したMC(今回は浜田省吾さんと薬師丸ひろ子さん)にもノスタルジーが存在していた。
自分の地産地消を、“地元で生まれて地元で消える”と言ったのには会場は大爆笑。
俺も笑い過ぎで涙が出てメイクが落ちたらどうしようかと思った(笑)。
でも見た人の記憶からは消えないのは間違いありません。
MCで「今夜、夢の中で会いましょう」とまで言っていた。
俺も初めて見た日の晩に、杉山田さんが夢に出てきた事があるし、ツアーで松山に来たあるプロのアーティストも前座を務めた杉山田さんの後はやりにくいって言ってたし、「お願いですから、夢の中に出てこないで下さい」と言ってたくらい。
8番目はmilk on the rock。
杉山田さんのすぐ後は誰もがやりにくいとかやりづらいとか言うけど、彼らが挑みました(挑まざるを得なかった)。
ボーカル&ギター、ベース、キーボード、パーカッション(カホン)の4人編成のアコースティックバンドで、全曲カバーではあったが選曲のセンスが良かった。
有名どころではYEN TOWN BANDとcoccoさんの曲はちょうど俺が高校生とか専門学生の頃の曲で個人的にも好きな曲で聞けて嬉しかったけど、まさか矢野真紀さんの曲もやるなんて驚いた。
選曲も演奏もアレンジもセンス溢れていて、見事に鬼門とされる杉山田さんのすぐ後の出番をそのセンスの良さで駆け抜けた。
音楽をやる上で、アコースティックやバラードをやるのが誤魔化しが利きにくく難しく、そのアーティストのセンスや技量が問われると言われているが、彼らはそのセンスと技量を持ち合わせた実力派だった。
トリはkicolishさん。
音楽活動だけでなく、イラストレーターとしても活躍されているアーティストで、今回のライブのフライヤーのイラストを手がけたのも彼女。
彼女のイラストは色々な人たちからも定評があるが、ステージでの彼女はセンス溢れるシンガーソングライター。
彼女と会って2年になるが、会う度に、そしてライブを見る度に成長し続けているアーティストでもある。
今回、全曲オリジナルでセットリストを組んだのは彼女のみだったが、オリジナルの“ノスタルジー”でステージをこなした。
MCで、「自分は何も結果を残せていない」とという事を言っていたが、今日の彼女のステージ、楽曲は、いつか結果を残すための素晴らしいプロセスになる事は間違い無いと思えた。
お世辞抜きで、今までも今もこれからも楽しみなアーティストです。
エンディングアトラクションはハロウィンに因み、“ノスタルジー逆ハロウィン餅まき”と題して、お菓子の持ちまき(ノスタルジーに因んで駄菓子も投げた)をしてフィナーレを迎えた。
今回は“ノスタルジーの旋律”の第1回という事もあり、色々と反省点や課題点も残した。
昨日の日記にも書いたけど、色々と考えさせられたし、勉強もさせられた。
MCに関しても、ナオミさんと一緒にやさせて頂いた事によって、俺のMCとしての心構えや対応力、イベントの盛り上げ方、その場その場でのコントロール等による甘さを痛感した。
あの人は事前にキッチリ決める面においても、その時その場における対応力、伝える事などにおいても流石と思わされた。
リハの合間を縫っての打ち合わせでも、ライブが終わった後でも、俺の何がダメだったかをハッキリと的確に指摘してくれた。
今後、司会はもちろん、アーティストとして自分のライブのMCにおいても、それらをクリアしていかないといけない。
昨日の日記にも書いたけど、今までの事もこれからの事を考えさせれているし、今の俺にとってはそういう時間が必要です。
今の俺はそういう時間の中で、朝起きて、仕事をして、ご飯を食べて、曲を作って、お風呂に入って、夜寝てます。