3月27日、NHKの報道番組『ニュースウオッチ9』の最後の出演で、
大越健介キャスターは視聴者にこう別れの挨拶をした。
「いずれ、また別の機会に画面を通してみなさまに
お目にかかれればと思います。
それまでの間、しばしのお別れです。
さようなら。長い間、ありがとうございました」
大越さんの降板の経緯は不可解だった。
NHK報道局幹部がいう。
「4月に新キャスターを抜擢するためには、
その前年の10月頃に関係部局が集まって
キャスター委員会を開いて調整する必要がある。
昨年の委員会では大越さんの
後任の話題は一切出なかったので、
交代はないはずだった。だが、
年末の総選挙後に突然、
上層部から呼び出されて交代を告げられたようだ」
大越さんは東大野球部でエースとして活躍。
東大野球部の投手で8勝した異色の経歴
NHK入局後は政治部に16年間在籍後、
米ワシントン特派員、支局長などを経て、
10年3月にニュースウオッチのキャスターとなった。
そしてNHKにしては珍しくニュースの後に
独自の見解を付け加えるスタイルが話題を集めた。
その見解が物議を醸すこともあるが、
落ち着いた進行や淡々とした語り口にはファンも多い。
辛口同業者たちにも評判は上々で
久米宏氏『久しぶりに論理的に話すキャスターをNHKで見た』
辛抱次郎氏『主義主張は置いといて、
大越さんのインタビューのまとめ方は素晴しい勉強になる』
と共にバカだのちょんだのと揶揄する大御所が称えていた。
最後の『ウオッチ9』出演の2時間後、
大越さんの姿は東京・渋谷で開催された送別会の会場にあった。
キャスターやスタッフ約60人が出席。
大型スクリーンには大越さんの5年間の活動記録や
同氏の親族らのメッセージが映し出された。
映像が終わると、大越さんは出席者の前で挨拶に立った。
「私は女性からメッセージをいただくことが多いんです。
ある女性からいただいたファンレターには、
“わたし、大越さんの声じゃないとダメなんです”
と書いてありました(一同笑い)」
「キャスターは視聴者に伝える仕事です。
ただ、伝えたい気持ちが強いと伝わらない。
私は途中からそんなことばかり考えてました。
時には言い過ぎて怒られたこともありました」
「歯痒い思いをすることも多かった。
取材で得た情報はすべていえない。
泣きそうな思いもたくさんしました。
辛くて楽しかった5年間でした」
その歯痒さの原因が何だったのかは
最後まで語らずじまいだった。
大越さん、フリーになって
”報道ステーション”の古館氏の後任になりましょう。
是非、見てみたいものです。
よろしくお願いします。