エキソドス | taburogu

エキソドス

「あそこのビルの下が、中野坂上駅だよ。」

マンションからそう教えられたけど、結局一度も行くことはなかった。近所にはGO GOの誰が住んでて、どんなセックスをするとかそんな話に興味なんてなかった。ただひたすらにMだった男を攻めて、いつになったらトコロテンすんのかと、イかせることに興味があった。トコロテンすることに抵抗があったみたいだが、いつだってトコロテンしてたこの男とは、きっとセックスの相性が良かったんだ。

ジムに行って何度か手を出された。新宿駅で知っている人に会って、軽い話もせずに一礼だけした。愛してる。テーブルに座りながら、外を歩く男の服装を貶した。それでも愛してる。カップの蓋を取ってコーヒーを覗くと、真っ黒でない表面に顔が揺れて映る。指を入れてみたら、果たして熱いのだろうか。確かめてみたかったけど、誰かに見られてる気がして止めることにした。

さりげなく手を握られたり、後ろから急に抱かれたりする。抵抗はしてしまうものの、本当に嬉しい。トコロテンする男は、何もしないかわりに部屋のベットで待っていただけだった。何かを待っていたかったのは、俺だって同じ。そして、今もそうであるのかもしれない。
誰かを見てるのをやめて、誰かに見られる生活をやめたい。坂上だって、新宿だって渋谷だってどこにだってある地下のホームから逃げ出してしまいたい。地下から伸びる現実からの非常口にたった一人で行けない。セックスの相性が良い男とも行けない。それでも焦らせる発車のベルは鳴り響く。そんな中この手を掴んだのだ。

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