最終日の2件目は、銘酒「クリサワブラン」の葡萄を育てているナカザワヴィンヤード です。
相変わらずぱっとしないお天気の中、20分ほど車で走ってたどり着いたのは、
ドラマに出てきそうなかわいらしい木造の一軒家。
その裏手には、美しく仕立てられた葡萄畑が広がっています。
なんだか「北の国から」みたいなほのぼのとした空気が漂う空間。
素敵だな~と思って眺めていると、中澤夫妻が出迎えにいらしてくださいました
畑の横には卵を産むニワトリも。「夫婦二人で食べるのには十分なんですよ」と。
さっそく案内して頂いた裏手の畑には、思いのほかたくさんの品種が植えられていて、
それぞれが驚くほどきちんと管理されています。

シロツメクサや色とりどりの下草が適度に茂る畑は、
薬を最小限に抑えるの代わりに、本当に手間をかけて栽培しているのが見て取れる美しさ。
ご夫婦二人だけでこれだけの畑を面倒をみるのは、さぞかし大変だろうなあ~
こちらはゲヴュルツ。コロンと丸くてかわいい実がぎっしり!
いろいろお話を聞いていると、現状に至るまでは試行錯誤の連続だったのがわかります。
数年前、一切の手入れを排除して自然栽培を試したそうですが、
結果として木がかなりダメージを受けてしまい、それ以降収量も減ってしまったそうです。
そんなこともあり、なかなか数量が増やせなくて申し訳ない…と中澤さん。
本当は、もっと気楽に飲んでもらえる価格にしたかったんですが、
質を落とさず、この規模で生活を支えようと思うと、どうしても今の価格になってしまって、と。
一般市場ではほぼ入手困難というほどの超人気ワインだというのに、
お高くとまるどころか、ご夫婦お二人のこの謙虚さといったら…!
こちらは挿し木で育てている苗木。研究熱心な姿勢は変わりませんね。
そのあとも、予定の時間が迫っているにもかかわらず、
サロンでゆっくりとテイスティングをさせてくださいました。
畑を眺めながら、中澤ご夫妻と共に味わう「クリサワブラン」は格別で、
その優しさ、滋味深さ、繊細できめ細やかな美味しさが、じんわりと体に沁みわたっていく感じです。
今まではブドウ品種ごとに醸造をしてからのブレンドだったそうですが、
2011年からは、文字通り「混醸」で仕込んだとのこと。
どんなワインになるのか、ココファームから届くのが楽しみだと言っていました。
委託醸造とはいえ、葡萄の扱い方、仕込み方、瓶の形状に至るまで、
中澤夫妻が強いこだわりをもってクリサワブランを作りだしているのだということがよくわかります。
そして今回、とても心に響いたことがひとつ。
今や入手困難なクリサワブランですが、プレミアがついたような現在の状況は、決してお二人の本意ではないということ。
「もっと多くの人にこのワインを飲んでもらいたい」
これが、中澤夫妻の本当に切実な願いなのです。
だからこそ、グラスでたくさんの人に提供してくれるレストランは本当にありがたい、と。
この言葉には、思わずハッとさせられました。
入手困難なワインを誰彼かまわずグラスで提供するというのは、意外と勇気のいることです。
せっかくのワインなんだから、わかる人に飲んでもらいたい…なーんて余計なことを考えて、
ついつい出し惜しみをしてしまいがちです。
でも、そうじゃないんですね。
一般の人が手に入らないからこそ、私たちが少しでも多くの人に提供できるように努力しなければいけないんですよね。
それこそが、日本ワインを広めたい!と強く願っている私たちの、本当にしなければならないことなんです。
クリサワブラン、グラースでも一人でも多くの方に飲んで頂けるように努力したいと思います
皆さんも、みかけたら迷わず注文してみてくださいね!(笑)
短い滞在時間でしたが、本当にたくさんのことを学ばせてくれた中澤ご夫妻。
ワインの味わいには作り手の人柄が現れる―
ここでもまた、改めて実感させられました。
素晴らしい時間をどうもありがとうございました!
♪♪次回で終了!その⑩はおまけです♪♪