手に触れるもの | 喜八郎の道中日記 *小さなフランス料理店復活までの日々*

喜八郎の道中日記 *小さなフランス料理店復活までの日々*

新たなステージへと歩み始めた喜八郎。
その道のりは意外と長く険しいものに…?こうなったら、焦らず騒がず機を待つべし。
黙々と復活の機会を待ちながら、日々料理の道を究めるべく精進する喜八郎の奮闘記!

資本が大きく、億単位でお店をオープンできるお店と違い、

本当に個人で経営しているお店は、開店準備に使える予算がとても限られます。


自分で開業を経験すると、そのあたりの相場みたいなものがはっきり見えてくるので、

この店はどこに重きをおいてどのくらいの資金で作ったのか、というのが大体みえてしまいます。


ここは内装に手をかけたなあとか、ここは厨房設備を優先したんだなあとか、

ああ、ここは全てにおいて予算が潤沢にあったんだろうなあ、とかにひひ



グラースをオープンする時に、少ない予算の中でどうしてもこだわったのは、

実は調理器具でも内装費でもなく、


「お客様が直接手に触れるものの質」

でした。


それはつまり、グラス、食器、カトラリースなどのこと。

これ、オープンの時のブログにもパラパラ書いてましたよねニコニコ


grace グラース kihachiro HACHISUKA *小さなフランス料理店の日々*

グラースのお皿やカトラリーは、デザイン自体はどれもクラシックでシンプルなものばかり。


ぱっと見は地味だし、これもまた時流に乗ってない感じがありますが汗

どれも主張しすぎない「居心地の良さ」があると思っています。


たとえばクリストフルのナイフフォークは、使う時になんの違和感もありません。

これってすごいな~と。

この絶妙な重さとしっくりと手になじむ形状が、何十年も支持され続けてきた質の高さの証です。


長い時間を過ごしてもらう空間だからこそ、

手に触れるものから感じる「上質感」だけは大切にしたかったのです。


これもまたなんとも、わかりにくく地味なところにこだわっちゃったよなあと思うのですがガーン
当然のごとく、その後は内装や厨房機器にかけるお金がシビアになってしまうわけで。


みなさまから「シンプル」という素晴らしい形容詞でお褒めの言葉を頂く内装も、

実のところ「あんまり凝って作る余裕がなかった」というのが実情でございます汗



そんな状況ですから、今でも手を入れたいなあと思うところがたくさんあります。


すぐに変えるのは無理ですが、何年も何年もかけて、少しずつ少しずつ、

理想のお店に近づけていけたらうれしいです。



数年後のグラースを、皆様もどうぞお楽しみにラブラブ