2024年2月某日、今回の目的地は韓国の釜山、現地1泊2日の旅である。

本来なら2023年の7月に成田釜山往復¥22,000という、飛行機代が暴騰しているこの時代にあって、なかなかお安い値段で予約出来たのでそこで行くはずだったが、まさかの出発前日に私が流行病でコロって39度以上の熱と猛烈な頭痛に襲われるという大チョンボをしでかしてしまい、釜山行きはお預けになっていた。妻氏には申し訳ない事をしたので、今回はその代替旅だ。


そして、30代で体重が単調増加の一途を辿り、ある時医者にこのままでは死ぬと言われ、流石にまずいかと思い出した故、減量のモチベーション維持に減量目標を達成しない事には釜山に行けないという課題を自らに課していた。それも無事クリアしたので、自分への褒美も兼ねている。ちなみにこの課題は段階的に3,5,8,10,15 kg減量で各褒美を設定していて、5 kgの褒美が釜山である。


成田釜山往復が前回の倍以上と結構お高いので、どうしようかと思案していたところ、以前たまたまネットで北九州空港を発着する早朝深夜便の乗客は、北九州空港近辺の宿に無料で泊まれるキャンペーンがあるという情報を見ていた事を思い出した。試しに北九州経由で福岡から釜山まで行く経路を調べると、まさかの電車賃等全部含めても成田発直行便に乗るのと数百円しか変わらない事が分かった。しかも、成田発は朝飛んで昼過ぎに着くのに対し、福岡発は朝飛んで朝着く。福岡からは東京より釜山の方が近いので、当たり前と言えば当たり前だ。だが、費用がほぼ同じで現地に早く着くのであれば、それを使う他選択肢は存在しない。という訳で、往路は無料の宿と羽田北九州、福岡釜山便を手配していた。



私は仕事を終えて自宅へ荷物を取りに戻り、途中で仕事終わりの妻氏と合流して晩ご飯を食べた後、羽田空港へと向かった。羽田22時発の国内線は流石に時間が余りまくったが、特にやる事も無いので大人しく待ち、羽田を出発して北九州空港横の東横インに着いたのは0時近くになっていた。1日働いてからの移動は結構疲れるもので、宿に着いてすぐに風呂に入って寝た。



釜山へ移動の日の朝は5時に起きた。北九州空港を5:45に出発する小倉駅方面行きのバス、新幹線、地下鉄を乗り継いで福岡空港国際線ターミナルに着いたのが7:20頃。エアプサンのチェックインカウンターは死ぬ程人が並んでいたが、預け入れ荷物が無い我々は別口からチェックインし、早々に保安検査場に向かった。保安検査場も死ぬ程並んでいたが、案外素早く進んだので、結果こんなに早く来る必要は無かった。が、福岡空港は混んでいると書いてあったのは本当だった。

エアプサンBX147便は定刻9:25少し前に出発し、滑走路上を少々走って9時半過ぎに離陸した。水平飛行したのかすらも怪しいままにら着陸したのが10:05頃と飛行時間僅か30分で着いてしまった。渋谷から横浜まで東横線に乗るような感覚である。今まで乗った国際線の短時間記録を大幅に更新した気がする。


到着後はスムーズに入国審査も終わり、預け入れ荷物も無いのでそのまま電車に乗って昼ご飯を食べに行った。仁川とは大違いだ。


この日の昼ご飯は超有名店のトルゴレでスンドゥブにした。前回釜山に行ったのが5年ぐらい前で、それ以来でかなり久しぶりだが、やはり安定の味。前回来た時は5万ウォンだったのが今は8万ウォンまで値上がりしていて、この所の値上がりをここでも感じた。

最近妻氏が自宅でキムチを漬ける事とスンドゥブを作る事にハマっていて、トルゴレの味を是非とも再現すべく、しかと味を記憶した。


昼ご飯の後はお腹を落ち着ける為にチャガルチ市場を歩いて回り、ホテルに戻って荷物を置いた後、ロッテ百貨店へと繰り出した。

ロッテ百貨店では前回ウズベキスタンの帰りに買いそびれた手長ダコの塩辛他色々と食品を買い込んだ。そして、地下1階のイベントホールで仕事用に着られそうなセーターが定価17万ウォンから49,000ウォンに大幅値下げされていたので、それを免税で購入して戦利品を獲得した。


他にも食品を買うつもりでいたので、散歩がてらロッテマートへ行って諸々をカートに入れていると、妻氏はサムギョプサルを焼く為の鉄鍋を探していた。これは前にソウルでサムギョプサルを食べていた時にお店で使われていた物で、浅くて大きいお椀のような形になっている。これを使って豚肉を焼くと、中心に脂が溜まっていって、そこでキムチを焼いたり、食べた後にそこで豚肉の脂を使って焼飯を作ったり出来る。探しているとそれが置いてあったので、あるじゃないの〜と言って迷わずそれを買っていた。韓国まで来て何を買っているのかとも思うが、確かにあれで作ると雰囲気も出るし、締めの焼飯までがセットで出来るので良い。


一旦宿に戻ってロッテマートで買った済州島産のみかんでも食べながら一服した。我々は釜山に来ると、ソラリア西鉄に泊まると大方決まっている。空港からのアクセスが良好で、飲食店、買い物、カジノの全てが近くで事足りる上、お値段も高い訳でもなく、日本語が通じてきれいなので気に入っている。


18時頃になったので、近所の超有名店ケミチプにナッコプセを食べに行った。ここもやはり安定の味で、2人前にラーメン追加で瓶ビール1本を頼んで31,000ウォンでかなりお腹いっぱいになるのでありがたい。海苔を入れ放題な上、一通り具を上げた後に一緒に付いてくるご飯を鍋に入れておこげを作って焼飯っぽく食べる事も出来て嬉しい。

そもそも韓国料理は見た目の破壊力と言うか、見ただけでそれが食べたくなってしまう料理が大量にあって、夜な夜なYouTube等で美味しいお店の情報収集をしていると、実にお腹が減ってきて自らを苦しめている。だが、現地に行けば実際にそれを食べられる訳で、今まで幾度となくお腹だけ減らしていたあの日やその日の事など気にせず、食を大解放出来るのが韓国に行く一番の目的であると思っている。


晩ご飯を食べて宿に戻り、夜食にテジクッパを食べようかという話をしていたが、朝が早かったのと、韓国ぐらいではほぼ日常なので、特段アドレナリンが出る訳でもなく普通に眠くなって21時頃に寝た。



翌日は朝8時までしっかり寝てノソノソと準備をし、夜食に食べるはずだったテジクッパを食べに行った。色々と美味しい店はあるようだが、移動するのも面倒なので西面のテジクッパ通りにある松亭3代クッパにした。やはりここの味もあぁこれこれとなる。アミの塩辛が良い仕事をしている。ここも同様に値上げの嵐だったが、それは致し方ない。


その後ホテルで貰った1人4万ウォン分のカジノクーポンを持ってセブンラックへ行き、1万ウォン分スロットをした。スロットも何がどうなればいくら当たりなのかが何だかよく分からないので、とりあえず適当に何回か回していると、何やらジャジャーンと明らかに当たった風である。試しに引き出してみると、18,500ウォン分の金券が出てきた。それでもまだ遊べる分のクーポンが残っているのでそれを使ったが、それはあえなく回収されてしまった。一方の妻氏は一瞬で1万ウォン分のクーポンを溶かし、120ウォン分の金券だけ回収していた。


横で当たっている私の様子を見て、妻氏が私の方が調子が良いからと言い出し、ルーレットに使える残り3万ウォン分のクーポンを託してきた。なんとなく今日は赤の気分がしたので、迷う事なく赤色に私の分と合わせて計6万ウォン賭けて待っていると、幸運にも赤の3が出てクーポンが全額チップに変わった。この時点で合計8万ウォン分のクーポンが78,620ウォン分のチップに変わり、調子に乗ると全部無くなるのでここで辞めた。スンドゥブ、ナッコプセ、テジクッパの分が全部出た上に、まだ若干お釣りがある。何とも太っ腹で小市民には有難い。


チップを換金所に持って行くと、窓口の横に置いてあるチップ入れの中に何やらたくさんあったので、よく見ると新券5万ウォンの札束(多分100枚)が3つも入っていた。思わずおーーーと心の声が漏れていると、係のお姉さんも凄いですよねと言っていた。確かに凄い。150万円相当分も寄付している。どんな金持ちがどれぐらい勝ったのやら?カジノとは何とも凄い世界である。我々小市民は¥8,000程度の小遣いを獲得し、気分良くコーラを飲んで帰った。


西面から1駅歩いた所に釜田市場があるので、その市場で純豆腐等でよく出てくる土鍋を買い、市場内を散策したり、妻氏のウィンドウショッピングに付き合った。


良い時間になったので、宿に荷物を取りに帰って民楽駅近くの長寿参鶏という参鶏湯屋さんに昼ごはんを食べに行った。どこで見たのかは定かではないが、チェックが付いていたので新しいお店を開拓してみた。


地元感溢れるお店だったが、店のおばちゃんにどこから来たのかと聞かれたので、イルボンと言うと片言の日本語で丁寧に食べ方を説明してくれた。肝心の味はと言うと、それはそれは丁寧な仕事が伺える絶妙な味で、これを自宅で再現するのはまず不可能である。おばちゃんはNo.1 Korean Samgyetangと言っていた。確かに相当美味しい。美味しいのは間違いなくて、永遠に飲んでいられる優しい味のスープに、大量に入った鶏肉と餅米とおかずに舌鼓を打った。お店を出る時も飴ちゃんをくれるし、外まで見送ってくれた。量も猛烈に多いし、この店はリピート確定である。




そしてその足で空港へ向かい、16:20発の大韓航空で成田へ帰国した。我々が高いなと有償で買うのをやめた大韓航空だが、乗ってみると当然のように満席で、日本人も大量に乗っていて、円安だの燃料高だの完全にどこ吹く風状態だ。この飛行機はいつぞやにどこかで乗った分のマイルをデルタ航空に貯めていて、使おうにもなかなか使い所が無いぐらいしか貯まっていなかったのだが、たまたま1人7,500マイルで2人分の空席があったので、それを使って発券した。税金分1人¥2,000少々で乗れた。

成田で入国審査場を通過すると既に荷物が出ていたので、回収してそそくさと成田エクスプレスに乗り込んだ。私は小さいスーツケースにロッテ百貨店の紙袋を持っていた。妻氏はサムギョプサル用の鍋が入ったMade in Koreaと書かれた箱を抱えていた。成田エクスプレスの中はまだ良い。降りて自宅近くへ向かう電車の中では、荷物からして2人揃って韓国から帰ってきた感全開だった。


今回の釜山旅行も普通に取れば結構な金額が掛かったところ、お値段抑えめで行く事が出来たので満足だ。


次の釜山はいつだろうか。きっと韓国料理の気分が高まって、飛行機が安い時にフラッと土日で行っている気がする。