この日はこれまでの睡眠不足を少し補う為に、朝少しゆっくりしていた。

ところで、フランス人は朝会社に行く前に、自分のお気に入りのブーランジェリーでバゲットを1本買って、新聞紙みたいな紙に巻いただけの状態で会社に持って行って、それを1日かけて食べるらしい。それはやはりパリでもそうで、街歩き的な番組でイケおじ風のパリジャンがそれをやっているのを見て、それが洒落洒落だったので、密かにそれに憧れていた。パリジャンでも何でもなければ、パリはおろかフランスにすら行った事はないが、いつの日かパリに行った時にいきなりそれをパリでやるのは少々緊張するので、練習でブリュッセルでそれをやってみようと思った。


ベルギーはフランスの隣国なので、美味しいブーランジェリーがそこら中にある。宿から少し歩いた所に高評価のブーランジェリーがある事が分かったので、そこへバゲットを買いに行った。いよいよ憧れに向けての予行演習が出来る。バゲットを注文すると、店主のおやじは任せておけと言わんばかりに立てかけてあるバゲットを手に取り、それを紙に巻いて渡してくれるのかと思いきや、まさかの半分に切って丁寧にビニール袋に入れてくれた。求めているのはそれではない。パリジャンごっこがしたかったのが、妙に気を利かせた店主のおやじの計らいによって儚くも練習の機会は失われた。だが、バゲットはしっかり美味しい。さすがフランスの隣国だけある。美味しかったので、密かな憧れはいつかフランスへ行った時に取っておく事にした。


さて、ブリュッセルと言えば世界一美しい広場と言われているグランプラス、世界三大ガッカリ名所の小便小僧が有名所の2強なので、完全にお上りさん状態でまずその2つへ行ってみた。グランプラスは四方八方をいかにも欧州という建物で囲まれていて、その名に違わぬ豪華ぶりが伺える。次の日の宿はグランプラスが見える唯一の宿に移動することにしていたので、次へ行った。グランプラスから近い小便小僧の位置を地図を見ながら歩いていて、どうやらここらしいと探すと、あれか!ちっさ!となるぐらい小さかった。多分3,40 cmぐらいしかない。想像よりだいぶ小さくて、ガッカリというより、これ?というような感想になった。ブリュッセルのマスコット的な感じなので、ブリュッセルに行けば行くし、わざわざ見にブリュッセルに行く程ではない。








ここまでスッと移動したように書いているが、ブリュッセルもやはり歩くだけで本当に絵になる風景が広がっているので、歩いて5分もかからない距離を実は1時間ぐらいかけて散歩している。それぐらい絵になる街だ。

2強の後はブリュッセル王宮やら公園やら、気の赴くままに散歩して、チョコレート屋も5軒ぐらいはしごしてチョコレートを買い漁り、ヨーロッパ最古のアーケード街にも行った。




我々はベルギーに行く前に、ベルギーはフレンチフライ発祥の国なので、ポテトでも食べながら散歩しようかと言っていたのだが、いざ行ってみると尋常ではない大きさで売っている。30 cmぐらいある入れ物に死ぬ程フレンチフライが入って、ケチャップやらマヨネーズが大量にかかっている。それをみんな嬉しそうに食べている。正直もっと小さいと思っていて、あれを食べたら胸焼け確定なので、売り場だけ見て撤退した。


そして昨日ブルージュで食べたワッフルは正直期待外れだったが、本当に本場の実力はそんな物なのか?と疑った我々は、ブリュッセルの超有名ワッフル店のDandoyで今度はブリュッセル仕様のワッフル いちごとバニラアイス乗せを頼んでみた。超有名ですら期待外れなら、きっとそんな物なんだろうと思いながら食べると、昨日のあれはモグリか?と思うぐらい別物で、思いの外軽くてちゃんと期待通りの美味しさだったので、きっと引いた店が悪かったという結論に達した。


その後は百貨店に行って欧州ブランドのジャケットを買ったり、その辺の店でお土産を調達していた。


話は変わり、我々が旅をする大きな目的の1つに、高級レストランから屋台まで問わず、現地の美味しい食事を楽しむというのがある。ベルギーは美味しいフランス料理が食べられるとあって、やはりパリでいきなりフランス料理の星付きレストランデビューをするのは緊張するので、ブリュッセル郊外にあるMichelというミシュラン1つ星のフランス料理店を夕食に予約していた。

日本でもフランス料理屋には何回か行った事はあるが、欧州でフランス料理に舌鼓を打つのはこれが初めてである。とても嬉しいので、夕方調達したジャケットを早速着て行った。

案外店の雰囲気はカジュアルだったが、やはりフランス料理は美味しい。写真を撮れる雰囲気ではなかったので写真は残っていないが、どれもこれも素晴らしい味で、ワインも少々嗜んでも物価の高い欧州で本場のフランス料理を楽しんで1人2万円少々は安いなと感じた。またブリュッセルに行く機会があれば是非行きたいと思うお店だった。


宿に帰っても尚美味しい食事で幸せな気分のまま就寝し、とても良い1日だった。