仙川環著「人工疾患」 | 旅蔵のブログ

旅蔵のブログ

ブログの説明を入力します。

ある事情で身体の成長を止められた少年ユウキに秘められた謎とは、医療ミステリー。
ミステリー作家の石井さおりは、書き下ろし原稿執筆のため、伊豆の別荘にやってきた。
彼女は執筆の合間の散歩中、坂の上に建つ洋館で暮らす、柴田祐紀という6歳の少年と出会う。彼は病気療養のため、洋館に滞在していると言うが、病名については口を閉ざす。
ユウキの面影に既視感を覚えたさおりだったが、自分の幼少時代を知るかのような彼の言動に疑念を持つ。やがて、ユウキの生い立ちを探り始めたさおりは、彼と話すうちに、とても6歳とは思えない言動に不審を抱き始め、やがて、彼の脳は成人男性のもので、身体だけはいつまでも6歳児のままなのではないかとの疑問が生じる。
さらに、祐紀の父親が日本を代表する遺伝子研究者であることが分かり・・・。
あどけない笑顔の裏に隠された悲愴な真実を知ることになる。さおり中心の話しの展開とは別にある「手記」が挿入され進行する。後半手記の書き手とさおりの関係が明らかになる仕立てだが「成長に関するホルモンを阻害する蛋白質の遺伝子を片っ端から」注射した結果の悲劇にはリアル感が感じられず消化不良のような読後感が残った。
2012年9月 朝日文庫刊