鏑木蓮著「思い出をなくした男」 | 旅蔵のブログ

旅蔵のブログ

ブログの説明を入力します。

依頼人のわずかな手掛かりから思い出を探し出す。犯人を追いつめるのではなく、思い出を追う。犯罪の謎を解くのではなく、人生の謎を解きほぐす「思い出探偵社」元刑事実相浩二郎の活躍する「思い出探偵」の続編。「思い出探偵社」を、京都で始めてから7年が経つが、創設以来厳しい経営が続いていたのだが、1年前から主任探偵の一ノ瀬由美がテレビの人生相談に出演するようになって、依頼が徐々に増えてきていた。ところが、平井真という新人がメンバーに加わったことで、一波乱。
20数年前遊園地に残された一枚の写真の少年を探す・・・「雨の日の来園者」、
撮影現場から突然姿を消した斬られ役を連れ戻すべく、浩二郎が会津へ向かう・・・「大芝居を打つ男」
喫茶店店主の初恋の人を探し出す・・・「歌声の向こう側に」
由美の人生相談にもちこまれた記憶喪失の男の過去をたどる表題作「思い出をなくした男」の4編が収録された連作短編集。
人の苦しみに寄り添うことで、知らないうちに自分の苦しみを乗り越えていることがある。「思い出探偵社」が、人生の謎を解きほぐす。せつなくて懐かしい、心あたたまる物語。
「嫌な過去でも、存在する以上その人の血肉なんです。暗い過去ならこれからあかるくしましょ、悪い思い出なら、それを打ち消すほど幸せになりましょ。」(P321)
「自分を励ますための一番の方法とは・・・それは、だれかを励まそうと努力することである」(P398)
小さなヒントで都合よく探し出すのは出来すぎの感があるが読後感は良い。

2011年3月PHP研究所刊