昨年9月のMGCでは男子34名に対して、女子のファイナリストは15名。層の薄さが指摘されていましたが、ファイナルチャレンジの最後になって、1月の大阪国際マラソンで松田瑞生(ダイハツ)、3月の名古屋ウィメンズでは一山真緒(ワコール)が優勝し(日本人トップではなく全体トップ)、全体的にレベルアップしてきた印象はあります。
3月10日付けの世界陸連のランキングでは、松田、一山ともに28位という位置になっています。2つの大会の平均をとる方式の世界ランキング。松田は2018年のベルリンマラソンと2020大阪国際、一山は2019年の東京マラソンと2020名古屋ウィメンズ、平均をとるとポテンシャルでは同格の二人ですが、五輪の選考という点では明暗が「わかれてしまいました。
なお、日本人の順位(上位10名)は以下の通り。
28位 一山真緒(ワコール)
28位 松田瑞生(ダイハツ)
87位 安藤友香(ワコール)
102位 小原玲(天満屋)
114位 前田穂南(天満屋)
114位 岩出玲亜(アンダーアーマー)
117位 佐藤早也伽(積水化学)
120位 上杉真穂(スターツ)
148位 上原美幸(第一生命)
154位 山口遥
10番手の山口遥というのは市民ランナーで1月の大阪国際では日本人2位(全体7位)の好成績を残しました。五輪代表の鈴木亜由子(日本郵政)は11番手です。
世界のトップは昨年、世界記録を更新したブリジット・コスゲイ(ケニア)、2時間14分台。現役選手で彼女に次ぐのは2時間17分台になるので、3分差をつけてのダントツのトップです。
男子同様、上位はケニアとエチオピアの選手が大半を占めます。現在世界ランク2位であり東京マラソンで優勝したイスラエルのチェルピーターも出身はケニアです。
ケニアとエチオピア以外で一山と松田(28位)より、上にいるのは3名(バーレーン2名、ナミビア1名)。バーレーンの1名は大阪国際で2位、松田瑞生に及ばなかったミミベレテ。
となると男子同様、国際大会ではケニア・エチオピア各3名+数名くらいの位置にいるのでメダルは難しいけど入賞なら狙えそうな位置、ということでしょうか。
過日の名古屋ウィメンズマラソンでの一山の記録、2時間20分29秒という記録は日本歴代4位、世界歴代でも40番目くらいになるでしょう。
しかも日本の歴代上位3位までの記録はすべてベルリンマラソン、つまり男子選手と並走しての記録です。一山の記録は日本国内での大会、女子のみの大会、さらに単独走という点でも日本歴代トップの記録になります。
世界記録は2時間14分台ですが、2時間17分台は数名なので、2時間18分台で走れれば日本記録を更新し、さらに世界とも互角に戦えるレベルになるでしょうか。まあ世界の記録も日々更新され、2時間18分台、19分台も出続けてはいますが。
五輪候補選考という点ではよい面ばかりではなかったかもしれませんが、女子長距離界にとっては良い兆しでしょう。