帰マン第30話「呪いの骨神オクスター」は石堂淑朗氏の3本目の脚本。
山奥の沼に伝わる水牛の呪いの言い伝えをモチーフにした石堂氏得意の怪奇路線でした。
ホラーの雰囲気を醸し出すために撮影場所も考慮されていたそうで,水牛の墓場となるシーンは富士山麓の青木ヶ原樹海で撮影されたそうです。ストーリーを盛り上げる胡散臭い民俗学者,前田を演じたのは俳優の大泉滉氏。
特撮には欠かせない個性的な俳優さんで,ウルトラマンA以降のシリーズにも田舎の巡査役などで数回出演されています。
ウルトラマンA :第30話「きみにも見えるウルトラの星」,第43話「冬の怪奇シリーズ 怪談 雪男の叫び!」
ウルトラマンタロウ:第8話「人喰い沼の人魂」,第46話「日本の童謡から 白い兎は悪い奴!」
石堂氏が前回脚本した第23話「暗黒怪獣 星を吐け」では天文研究所の研究者を俳優の天本英世氏が演じていましたが,こちらもまた独特の雰囲気でした。
学者,研究者といえば映画「シン・ゴジラ」には3人の生物学者(御用学者)が登場していました。
首相官邸に設置された「巨大不明生物の学術的正体等に関する緊急有識者会議」に出席していた志賀(古代生物学者),柳(海洋生物学者),塙(生物学・大学教授)の3人。演じていたのは,犬童一心,緒方明,原一男の3氏,実は俳優ではなく映画監督,というのは結構有名な話ですね。
民俗学者とか生物学者とか,特撮モノの世界では不気味さを醸し出す必要があり,二枚目でスマートな普通の俳優さんでは演じきれない難しさがあるかもしれません。
一方,研究者といっても胡散臭いばかりではなく,違ったキャラクターの研究者もいます。
第34話「許されざるいのち」に登場する水野一郎。科学者としての使命に燃え,実験室で新しい生物を生み出す。父親へのコンプレックスを抱えながらどこか一途なところがありました。
また,第37話「ウルトラマン,夕陽に死す」に登場する宇宙電波研究所。ここの所長はナックル星人。研究者を装って悪事をはたらく悪者もいるのです。
なお,宇宙電波観測所という施設が野辺山に実在します。ナックル星人がいるかどうかわかりませんが。
昔のドラマならこういう役回りはリアルなんですが,今どきの大学や研究機関は成果や報告が求められるようになって,学者や研究者のイメージも異なるかもしれません。昔だったら許されていたような,個人の趣味の延長とおぼしき純粋な?活動には研究費がつかないでしょう。まあ,公的な機関に属さない「自称」研究者ならまだ個性的な方もいるかもしれません。