オリンピック,マラソンにおける補欠(リザーブ) | 趣味のブログ(空想特撮シリーズ,マラソン,トレーニング,中高年の健康管理など)

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趣味の特撮作品の特撮シーンを中心に思いつくまま気の向くままに書いています。サブ3.5を目標にマラソンのトレーニングを継続中。

先日,6月15日にMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)のコースが公表され,オリンピックのコースとほぼ同じということもあり,東京での開催が着実に近づいていることを感じさせられました。この会見には瀬古さん,有森さん,高橋尚子さんに加え,前回の東京五輪で走られた君原健二さんも出席されていて,国内の総力を結集して取り組んでいるとうかがえて嬉しい思いもありました。

 

オリンピックのマラソン競技には(一定水準を超えている国であれば)男女各3名の枠が与えられ,その選考のために創設されたMGC。3名以外の「補欠」についてもこのMGCの結果を踏まえて選出され,基本的に次点の者を選ぶのですが,この「補欠」に関しても過去には議論がありました。

前回,2016年のリオ五輪では男女ともマラソンの補欠は選考されませんでした。リオ五輪のマラソンに関して,結果はともかく(男女とも入賞なし),選考において比較的順当な判断であったことも手伝ってか,補欠なしということに異論もあまりなかったようです。

 

補欠の位置づけは競技によって様々ですが,五輪のマラソンにも補欠登録制度が適用されます。マラソンというのは事前の体調管理,調整が極めて困難であり,気象条件などによって途中棄権する選手もいます。レースが近づいてきて調子が悪ければ選手を交代,つまり補欠として登録している選手を繰り上げて出場させる,という選択が大いにあり得る競技です。

しかしながらいろんな状況の中で,少なくとも最近,五輪のマラソン競技で補欠選手が出場したケースはないと思われます。

 

補欠制度の活用について最近で話題となったのは2008年(平成20年)の北京オリンピックではないかと思います。

男子は,尾方剛,佐藤敬之,大崎悟史,女子は野口みずき,土佐礼子,中村友梨香のそれぞれ3名が選考。藤原新,森本友がそれぞれ補欠となっていました。

結果は,尾方選手13位,佐藤選手76位,大崎選手:欠場,中村選手13位,土佐選手:途中リタイア,野口選手:欠場,という燦々たるものでした。

その前の2004年(平成16年),アテネの大会まで日本は4大会連続でメダルを獲得しただけに期待も大きかったと想像されますが,入賞にすら届かず,6名のうち3名しか完走できませんでした。

ここで疑問,補欠選手を走らせればよかったのでは?

 

その通り。野口選手の脚の故障(肉離れ)が発覚した時点で,森本選手の出走案が浮上しました。しかし,この時は森本選手も脚の状態がよくなかったそうです。結局,2名が出走,実は土佐選手も不調だったそうで,最終的には女子は1名しか完走できませんでした。

大崎選手が股関節に異常を認識したのはレース直前だったそうで,補欠選手の登場には至りませんでした。

レース直前の追い込みが体に不調をもたらすことはよくあることで,ぎりぎりまで追い込まないと記録が生まれないという面もあります。まして個人としての競争を超えた,国の代表としてのレースとなるとその重圧ははかり知れず。安易な辞退の判断もできないでしょう。

なお,陸上競技の場合は,海外遠征などに際して選手団員の数を制限しているようで,そのために本番直前の数週間くらい前に補欠登録を解除する必要があります。2008年の北京五輪の折も,女子マラソンの本番,8月17日の約1ヵ月前には二人の補欠登録を解除しています。

 

補欠交代自体は前日くらいでも大丈夫であるそうですが,他の種目で出場できる枠を崩してまで,走らないかもしれない選手のための措置はしないということのようです。そこには現地までの距離や遠征費用などの問題もあるのかもしれません。地球の裏側のリオでの大会でははじめから補欠は準備していませんでした。

代表として選考された選手は1ヵ月前に辞退を申し出なければならず,その時点で出走を言い渡される補欠の選手にとっても残り1ヵ月というのは厳しいものがあります。もっと前からわかればよいのでしょうが,トップアスリートの好不調というのは極力,表に出したがらないものです。ライバル選手,ライバル国のこともあるし,マスコミもあれこれかき立てます。

しかし,今回,マラソンに関してはMGCという新たな仕組みが導入され,長い時間と労力をかけて男女それぞれ3名が選考されるわけで,決まったらそれで終わり,ではなく,その後のフォローとサポートも充実させて,補欠も含めた最大限の力を発揮できるようにしてほしいと思います。

 

競技は全く異なりますが体操の話。

1976年(昭和51年)のモントリオール五輪の体操団体では補欠だった五十嵐久人氏が代打で出場し,金メダルを獲得という快挙もありました。「補欠選手はなぜ金メダルを取れたのか」という書籍に子細が描かれ出版されているようです。

 

マラソンの補欠からの繰り上げというと非常に重たいですが,団体競技なら代打や交代選手の登場はよくあること。予選と決勝で選手を戦略的に代えることもあります。

では結果としてメダルを獲得するに至った場合に,メダルの数は競技人数の数なのか,代打や交代選手の分まで含めて出場した選手の数なのか,これはどうも競技によって異なるようです。

 

たとえば4×100mリレーの場合は決勝で走った4人分=4個,のようです。野球やサッカーはどうなのでしょうか,9名とか11名のような気がしますが。そのうちクイズ番組の問題か何かで扱われそうな。

 

冬季五輪の場合は結構,寛大なようで,3名競技のパシュートの場合,登録されている4名にメダルが与えられるそうです。といっても1回も滑っていない場合はダメで,決勝で滑らずとも予選や準決勝で滑っている必要はあるそうです。

 

また,補欠といえば,マリリンこと,カーリングの本橋麻里さん。

監督かコーチか,何か指導的な役割の方かと思いきや,選手,しかも補欠だったのです。実際には競技する場面はなかったのですが,選手登録はされていたようで,表彰式後の会見の模様を見ると,ちゃんと補欠である本橋選手にもメダルがあるようです。

 

まあ,さすがに陸上競技の場合,補欠で走らない選手にメダルということはないですが,でも目立たない存在ながら,競技によっては陰の功労者,縁の下の力持ちになることもあり,そういう選手達にも光をあててほしいとも思います。