<リソースが足らないチームの運営ポイントは?>
保品 あの~,また「たびとさんに怒られる~」を覚悟で..お聞きします(笑)。リーダになったらすぐ「担当技術者卒業」と考えるのは確かに良くないとは僕も思います。ただ,限られた要員数の中で複数の保守案件を素早く捌くには,必ずしも技術的能力だけではなく,応援が必要な部門との役割調整など,リーダには円滑なヒューマンコミュニケーション能力が重要だと思うのですが..。
たびと 確かにリソースが足らないとき,リーダの依頼調整力,説得能力,交渉力,上位層を動かすといったヒューマンスキルもチーム運営のキーポイントの一つかもしれません。でも,私は,そのようなヒューマンスキルが最も重要だと考える組織が良い組織だとはあまり考えていません。
保品 そのような組織に出てくる問題とはどんなものとお考えですか?
たびと 例えば,「トップダウンによる的確で迅速な意思決定と組織運営を目指す」という美辞が飛び交う組織をイメージしてください。
保品 その言葉のどこが問題なのですか?
<「トップダウン」と「上意下達」はどう違う?>
たびと 「トップダウン」を「上意下達」,「的確で迅速な」を「拙速な」と変えたら問題のイメージが際立ちませんか?
保品 トップの組織運営能力が,聞きかじりだけでなく,十分な実績に基づく経営科学的な能力に優れていなければ,単なる「上意下達」,「拙速な」となるだけということですね。
たびと 「トップダウン」「的確で迅速な」という言葉を,経営トップが使った組織目標に書いたというだけで,言葉が独り歩きさせるようなリーダばかりがいて,現場担当者にはその言葉を伝えただけ。「上の指示だから」と繰り返すだけで,何のリソースの手当や具体的な対応方法を示さず,現場担当が簡単に「早く」「的確に」に,そしてさらに「安く」できるようになるわけがないのです。
保品 現場が他のリソースを活用したりして活性化するには,現場担当者や担当部門間の信頼関係が重要なのに,その信頼関係を崩すのが「トップダウン」や「的確で迅速な」という,検証されていない美辞麗句的指示なのですね。
<上を意識しないで協力し合える関係は良い?悪い?>
たびと そうです。基本は他部門や他チームのみなさんには「いつもお世話になり,いろいろご迷惑をお掛けしている」という気持ちで,リーダも担当も接すれば,依頼先部門も早い解決に向けた協力を惜しまずやってくれます。
保品 たびとさんは簡単そうに仰いますが,多分は私は上の美辞麗句的指示のプレッシャーに負けて,すぐ信頼を無くす下手なことをやってしまいそうです。たとえば,やってはいけない悪い言い方というのは,どんなことですか。
たびと 「本当は頼みたくなかったのだけれど,切羽詰まって,やむなく急ぎで頼んでいる」という雰囲気が相手に伝わった途端,言葉でどううまく説得しょうとしても完全にアウトですね(笑)。それに加えて,自分はリーダで実務担当を卒業しているので,上を通して依頼するのがメインの仕事みたいに相手に受け取られるとダブルプレー(笑)でアウトです。
保品 やっぱりですよね~(笑)。「拙速な対応」をしてしまい,すぐやるべき対応が後手後手に回ると,どうしてもそんな「とにかくお願い」的な雰囲気でのお願いになってしまいそうです。ヒューマンスキルに頼って何とか凌ごうとするではなくて?
たびと 私がお願いする場合は,こちらではここまで工数を掛けて調べ,ここまで分かったが,その後の詳細部分は専門の貴部門で調べてもらった方が断然早いという雰囲気でお願いするのです。
保品 相手の専門分野を勝手に侵さないという原則ですかね?
(19話につづく)