シネスイッチ銀座で鑑賞。

ネットでチケットを取る時に座席数が多いなぁとは思っていたのですが、現地に行ったら本当に大きかったです。映画館というより劇場と言った方がふさわしい雰囲気でした。映画全盛期にはとてもおしゃれで華やかな劇場だったのではないでしょうか。

 

『本日公休』は勉強会のメンバーが推していたので観に行くことにしました。

観てよかったぁ。

ヒューマンドラマでほっこり温かい作品だろうというのは想像していました。それが押しつけがましい感じだと嫌だなと思いつつだったのですが、その心配は不要でした。

 

台中で昔ながらの理容店を営むお母さん。定職に就かない息子と都会にいる二人の娘。三人ともお母さんの思い通りの人生とはなっていないので、少しずつ小言や意見は言ってみるけれど、どこか諦めているところもある。それがとてもリアルだと思いました。本人が良いようにやらせるという理想もあるでしょうが、どうせ言ったって聞きやしないという諦めもある。良い意味での諦め。

子供たちからお母さんに対しての態度もそう。「もう何やってるのよ!」とイラつきながらも、急に連絡がつかなくなった母をとても心配し、見つかれば心底ホッとする。ホッとしたからと言ってオーバーに抱き着いたり泣いたりしない。「無事でよかった。今度からは携帯を忘れないでよね!」とあっさりしたもの。

親子ってそんなものだと思う。

 

反対に娘の元夫(娘婿)はお母さんに対して理想的ともいえる優しさを表にちゃんと出して接してくる。これもまたリアル。肉親でないからこそできる親切ってあると思う。嘘とか媚びてるとかじゃなく、ある程度距離がある人に対しての方が素直に親切になれる。

そしてこの元娘婿が再婚することになるのもこれまたリアル。再婚の報告を聞いてお母さんは「良かったね幸せにねと言いながら」紅包(祝い金)を握らせる。このシーンではそれほど多くのセリフは無いのだけれど、私の頭の中ではグルグルと言葉が回っていた。「うれしいけれど、離れて行ってしまう一抹の寂しさもある。だからって寂しいなんて口に出しては言えない。だって元娘婿が未来に一歩踏み出した、祝うべき門出なのだから」と。お母さんの気持ち分かるわぁ~としんみりしました。

 

誰にでも起こるわけじゃない、映画的な出来事の部分は物語としてしっかり楽しめました。そして、誰にでも起こりそうな、ある意味地味なシーンでは自分の事と重ね合わせて心に沁みるものがある。ふたつの角度から楽しめました。

 

陳柏霖(チェン・ポーリン)のシーンは見ている時は人気俳優を出演させて、オマケみたいなシーンかなと思っていたけれど、後になってから考え直しました。通りすがりの青年の髪を切り「親に会いに行ってあげなさい」というお母さんのセリフは、本当は自分の子供たちに言いたい言葉だったのでは?と。

 

そしてこの映画でずっと気になっていたのは理髪店の窓ガラスに書かれている理髪メニュー。"山本頭"って何?

公式サイトから写真をお借りしました↑

帰りの電車の中ですぐに調べました。額に反りこみを入れたタイプの坊主頭の事らしいです。"平頭"の角刈りともちょっと違うんですね。

また新しい言葉を覚えました。