いろいろな国の街角でホームレスを見た。ホームレスが目当てで観光しているわけではないので、通常は忘却してしまうだろう。しかしよく思い出してみると、それぞれに特異なエピソードがあり、少々悪趣味ではあるが記録して残しておこうと思った次第。
新宿のホームレス
田舎育ちなので、東京に出ることでも無ければホームレスを見る機会は無かった。ある日のこと、とある用事で高速バスで一人で新宿に降り立ち、地下商店街で食事をしようと行ってみると、見渡す限り段ボールで埋め尽くされていた。これはダンボール村と呼ばれ、バブル崩壊後、仕事にありつけなくなった人たちが集まっていた。ピーク時には300人も住んでいたという。過激団体の支援もあったようだが定かではない。後日、ダンボール村は火事で燃え解散となった。これ以降、地下道は夜間限定のドヤとして使われるようになった。
蒲田のホームレス
町工場や湾口の労働者が集まる蒲田は実はホームレスが多い。公園や多摩川河川敷などには多くの人が簡素な家を作り定住している。アルミ缶を大量に詰んだ自転車はここでは日常風景だ。また、蒲田は漫画喫茶の聖地としても有名で、地下鉄サリンの最後の犯人がつかまった場所としても記憶に新しい。一番人気の店はなんと1時間100円で利用でき、自分もよく漫画を読みに行っていたが、とにかく安いのでドヤ代わりに使っている人がほとんどである。風呂に入っていない人が多いので少し臭うが、安いだけでなく漫画の品揃えが良い。経営者は大の漫画好きで、漫画村のはしりのようなことをして逮捕された。とあるドキュメンタリー番組で、ここに泊まっている人がもう少しお金を足してサウナに泊まりたいと語っていたのが印象に残っている。
香港のホームレス
香港といえば高層ビルのひしめく煌びやかな街のイメージがあるが、それに比して賃料も高く、庶民は極めて狭い部屋に住んでいる。特に貧困層はカプセルホテルのように二段式のベッドをひとつ借りて暮らしている。それでも福祉がしっかりしているのか、街中でホームレスを見かけることは少ない。ただ印象に残っているのは、重慶大厦の前に白人の物乞いがいて、毎日ハーモニカをデタラメに吹いて小銭を集めていた。誰かが小銭を差し出すと、しがみつくようにその小銭を奪い取る。香港で頭がおかしくなり自分の国に帰れなくなってしまったのだろうか。
深圳のホームレス
出稼ぎの街深圳は中国でもホームレスが多いと思う。まず香港から入管を超えて羅湖に降り立つと、物乞いが目立った。子供を背中に背負い、ゴミ箱から残飯をすくって食べている女性を見かけ衝撃を受けたが、このように同情を引きお金を集めるプロの物乞いがたくさんいるらしい。
ウラジオストクのホームレス
極寒の地ウラジオストクにホームレスなどいるわけないと思ったが普通にいた。その日は氷点下20度で、港は全て凍りつき、気を抜けば死んでしまうような状態だったが、ロシア製のコートとフードを着込めば意外と暖かいのかも知れない。
アメリカのホームレス
アメリカは自由の国なのでお金さえあれば何でもできるが、お金が無ければ何もできない。福祉も日本に比べると足りないようで、膨大な数のホームレスが存在する。しかしホームレスといっても、我々の想像する路上生活者ではなく、トレーラーハウスに住み仕事をしているような人も含むらしい。ただ観光でいくつかの都市へ訪れただけなので、私が見たのは路上生活者に限定される。日本と違って物乞いも許されているので、交差点を通るたびにお金をせびられることになる。
マニラのホームレス
スラムの記事でも書いたが、マニラはホームレスが多い。公園は村と言えるほど過密に人が住んでるし、路上は夜になると等間隔で人が寝ている。墓地にも人が住んでいるし、ビルの土台部分にも人が巣食っている。これだけの人たちが飢え死にしないのが不思議だが、マニラは世界有数の都市なので、残飯の量も多く、そのエコシステムが確立しているのだろう。パンツ一枚でおっぱい丸出しの女の人が街をフラフラ歩き、店の店先でごろんとなって寝出したのはびっくりした。ちなみにマニラのスラムや路上に住む人の多くは、周辺の島々からやってきて職にありつけなかった人らしい。
バンコクのホームレス
バンコクでもときどきホームレスを見かけるが、アジアの中では特に多いという印象はない。タイの中でも貧しいとされる東北部の人や、ミャンマー難民が多いと聞く。手足がない人が物乞いをしているのも他のアジアの都市と同様である。仕事がないから子供の手足を切ってプロの物乞いにさせるという手口が多いらしい。
カトマンズのホームレス
ストリートチルドレンがとても多かったが、孤児院の福祉が整備されていないのだろう。彼らはごろごろしながらビニール袋を吸っていたが、どうやらシンナーでラリっているようだった。貧しい国では空腹を満たすためにシンナーを吸うと聞いたことがある。しかし小さいうちからこれでは長生きできないし、まともな仕事も得られないだろう。
インドのホームレス
インドはどこへ行ってもホームレスが日常風景なので、それを見て印象に残るものはなかった。物乞いも多いが、ホームレスなのかプロ物乞いなのかカーストによるものなのか判別つかず。そういえば、カルカッタのホームレスは定期的にトラックに乗せ、デカン高原に捨てられるという都市伝説がありましたね。
アテネのホームレス
EUを目指しギリシャに難民が殺到していた時期だったので、いたるところに中東やアフリカ出身のホームレスがいた。シュンゲン協定に入っているどこかの国に入ってしまえば、協定内の国の移動は自由というルールがあったからだ。ただギリシャは半島で、隣国はシュンゲン協定に入っていないので、陸路の移動ができず動けずにいるようだった。
スペインのホームレス
スペインもアフリカに近いのでアフリカ人のホームレスをよく見かけるけど、ロマもとても多かった。グラナダの山には洞窟があり、そこにロマがたくさん住み着き、昼間は路上で飲んだくれていた。
リオデジャネイロのホームレス
南米最大の都市のひとつであり、それに比してやはりホームレスは多い。街には都市計画によって作られた公園が多数あるが、どこもホームレスが大量に住み着いている。ただ、小屋は見かけなかったので、行政も対策はしているようだ。