こういう意見をネットで見聞きします。


「NISAで海外株まで非課税にする意味がわからない、これでは誰も日本株を買わないじゃないか」


「俺は日本を応援するためにNISAで日本株を買う」


「日本の家計貯蓄は2000兆円、その半分が現金。それが日本株に入ってくれば日本株は上がる。」


そもそも日本株に魅力があれば自然とみんなはそっちを買う。魅力がないから買わない。

30年以上全然上がってない。


株式投資は儲けを得ることが目的であって、一番有利なところで投資することが基本です。世界中をぐるっと見渡した時に日本がアメリカやドイツやインドとかを差し置いてどんどん成長していくとは思えません。

世界やアメリカは人口増の一方で、日本は40%以上減る。しかも高齢化で経済を支える労働人口はもっと減る。


そして今の日本の問題点が早急に解決されていく兆しもありません。日本人ならこの病巣の深さを嫌というほど理解しているのではないでしょうか。


目の前にデータから日本はアメリカ以上に成長していくと思えるなら勝手にしてと言うしかない。けれども他人を巻き込むべきじゃない。


日本株を買って日本を応援すべき、というのもお花畑。日本株をたくさん持っているのは金融資産を持っている高齢者の割合が多い。


彼らはこれから株を売却して取り崩していくフェーズです。つまり、そういった売りを支える養分になるかもしれないのです。どこまでお人好しなのでしょうか?


あと株を買うことで企業を応援するという動機は否定はしませんが、僕は反対です。

この出前館という株は万年赤字企業なのですが、増資(株を発行して投資家から資金を得る)をして、その金で利用者にクーポン券を配るという行為をしました。


事業で得た利益を投資家に還元するのが資本主義です。投資家の金を利用者に還元するという資本主義の真逆を地でいっているのが出前館です。


えっ?俺らの金で利用者にクーポン券ってどういうことよ?と思った人はサッサと見切りをつけて株を売却したはずです。


企業を応援するから投資するということは、このお金、もう好きにして、と言っているようなものです。そういう勘違いした投資家は出前館の株価下落に最後まで付き合い、大損する投資家なのです。


日本人全員のお金が日本株に入れば上がると言っている投資家も洗練された投資家ではないと思います。


一例を紹介しましょう。


これはゲームストップというアメリカの中古ゲームソフト販売の会社の株価推移です。日本でいうと古本市場とかゲオみたいな会社です。


2021年の年末年始にいきなり株価が何千倍にも暴騰しました。これはいきなり企業業績が急拡大したとか、ファンダメンタル的な理由ではありません。むしろ業績はコロナ禍でボロボロでした。


ネット上で集まった個人投資家が泡沫な株を一斉に買い上げて相場を捏造したのです。虚をつかれた空売りヘッジファンドは買い戻しを余儀なくされました。それが更なる買いとなって踏み上げ相場が発生、瞬く間に株価は大暴騰しました。


実際にその瞬間の値動きを見ていたのですが、数時間で数倍に株価が上昇しました。日本の個人投資家も一連の動きに参加していました。


しかし、相場の基本ですが、相場は作るものではなく乗るものなのです。


本来ゲームストップ株にここまでの株価上昇する実力はありません。それを無理矢理演出したとしてもメッキが剥がれるのも一瞬です。


また株は買ったら次は売らなければ利益を確定することはできません。そうやって捏造された相場で起こることは、我先に仲間を裏切って株を売却する人達が出まくるということです。


実際ゲームストップ株は暴騰した後に急落しています。ただ単に個人投資家間で金の奪い合いをやっただけなのです。


日本人全員で日本株を買えば株価は上がるという話はゲームストップ株を買い上げた個人投資家達と全く同じ発想です。


株価上昇するマトモな理由(日本企業の利益成長・成長率加速など)がない限り、相場をお金の力で無理矢理捏造してもすぐに化けの皮が剥がれるだけです。


そういうことを考える投資家は「自分だけは上手に儲けられる」と全く疑っていないのでしょうが、一番最後まで取り残されて大損するのではないでしょうか?