株価はどのように決定されるのでしょうか?


その一つのモデルが以下のものです。


引用元


なんじゃこら?となると思いますが、注目する点は一つです。それは分母に金利が位置しているということです。


いくら利益が30%、40%と成長していても、金利が1%、2%、3%と上がっていけば、割り算なので理論株価はどんどん下がっていってしまうこと意味しています。


つまり業績よりも金利の方が圧倒的に株価に与える影響力は強いということです。


特に金利のインパクトはロングデュレーションな投資対象ほど大きいです。


投資には株価収益率という概念があります。


株価を一株あたりの利益で割り算したものが株価収益率です。今の株価は何年分の利益を織り込んでいるのかと測ることができます。


例 株価100ドル 一株あたりの利益 2ドル

100÷2=50

今の株価収益率は50倍(50年分の利益を織り込む)


ロングデュレーションとは、この株価収益率が高いことを指します。


ロングデュレーション株は往々にして今の利益が少ないので、金利上昇局面では株価が大きく下がります。


つまり利益は変わっていないのに、株価が下がることによって株価収益率は下がってしまうのです。


簡単にまとめると、金利上昇は株価収益率を押し下げることによって株価の下落圧力となる。株価収益率の高い株ほど金利のインパクトは高い。


なので投資家は常に金利動向に気を配っておく必要があります。金利の見通しなくして投資戦略は立てられないのです。


金利は米国10年債利回りのことを指します。

次のサイトから金利の値動きをチェックできます。


つい最近、金利上昇によって株価が大きく調整した事例がありました。


それは2022年の相場です。

金利は1.5%から4%を超える水準まで急騰しました。


SP500は4800から3500を一時割るところまで暴落しました。SP500の株価収益率は22倍から15倍まで圧縮されました。


特に今利益は出せていないけれど成長を期待されて上がっていた株は大打撃を受けました。当時ズームの株価収益率は100倍を超えていました。

成長率鈍化と金利上昇のダブルパンチで暴落。


サイバーセキュリティ企業のクラウドストライクも金利上昇局面では-64%の大暴落。この間、この企業は良い決算を出し続けていました。業績は良かったのです。しかし株価は暴落。業績よりも金利の方がインパクトが大きいことの証拠です。


現在は金利の逆風が止んだので業績拡大に伴って株価は回復してきています。


逆に金利急騰局面でも株価が上がっていた銘柄もありました。理論的には金利上昇の影響を受けにくい(株価収益率の低い)株で、業績が急上昇していれば株価は上がるはずです。


当時株価収益率は一桁台。原油価格高騰によって業績はほぼ倍に成長していた。


こちらも当時株価収益率一桁台の石油タンカー株。サプライチェーン混乱、ウクライナ戦争勃発による航海ルート変更によって船舶運賃が高騰。業績が急成長した。