《3/8/2016》《 306日目》南アフリカ ケープタウン
ちょっと考えさせられることがあった。
ケープタウンで泊まった宿に、変わった女性がいた。
彼女の名前はリネル。
ヨハネス出身の白人の南アフリカ人。
はじめて会ったときからリネルは異様にハイテンションだった。
ドミのドアを開けると、歌いながら踊っていた。
2ヶ月前に離婚をして、アパートが見つかるまでの間、ホテルを仮住まいにしているそうだ。
夜行バス明けだからちょっと疲れてるのよ、と言うと、そうなのそこの八百屋は桃がおいしくてね!と止まらぬマシンガントークを繰り広げた。
服を何度も着替え、帽子を室内でかぶったまま歩き回ったり、
ロッカーから荷物を出しては詰め込み出しては詰め込み、ガチャンガチャンとドアを無理矢理に締める。しかも早朝5時にだ。
夜1時、眠りかけている私を起こし、チーズとハムを一緒に食べるとおいしいのよ!と差し入れた。
寝ている人を起こし、耳元で何かわけのわからないことを囁くこともあった。(わけわからないのは私の英語の聞き取りの問題もあり)
長いことトイレの床に座り、便座の上で何かをごそごそいじっていた。洗濯かもしれない。
昼間寝ているのかもしれないが、夜寝ている様子はなかった。
夜に部屋に帰ると、女子ドミなのに、男性を部屋に招き入れていることもあった。
何をしていたのかはわからないけど、
弟なの!弟なのっっっ!!!弟も、この宿に泊まってて!!!
と著しく狼狽しながら彼女たちは説明し、いわく弟は部屋からそそくさと出て行った。
ベッドサイドに置いてあった靴が翌朝、二段ベッドの上に移動されていたり、
ベッドフレームに干していた私のタオルがなぜか、黒く汚れ、しかも濡れた状態でシンクにかけられていたり、
ベッドに出していた洗濯物、ハンガー、ソーイングセットなどが移動していたり、一部行方不明になったりしていた。
彼女のワンピースが私の枕下から出てきたこともあった。
物が室内で移動していることを彼女に尋ねると、ひどく慌てながらわけのわからない説明をしていた。
タオルを別の部屋で見つけて!あなたのタオルだとは知らなかったけど!タオルはシンクにあった方があなたにとって便利だと思ったの!
とか。
ある夜、彼女はひどく興奮状態で、虫が自分の足の上を歩いたと叫んだ。
シーツを剥がし、マットレスをベッドフレームから持ち上げ、床を覗き込んだり、カバンを漁ったり、帽子をかぶったりしていた。
一緒に確認すると虫はいないようだったので、恐怖を覚えながらも眠りにつくことにした。
翌朝、カーペットにはヨーグルトを拭ったような白いあとが50cmに渡ってついていた。
日に日に(といっても3日間だけど)、彼女の目の周りは落ち窪んでいった。
肌も乾いてゆき、10歳は老け込んだ。
リネルに、夜は寝た方がいいよ。体に悪いよ。と言うと、
千鳥足で歩き、体をぐにゃぐにゃとひねらせながら、彼女は反論した。
私たちは同じ宿泊客だから、同じだけの権利がある!
私は寝たいときに寝るし、食べたいときに食べる!
ねえ、男の人の性格って、その人の母親の影響が1番大きいと思わない?
そんな何の脈絡もない話を口走りながら、
手を鳥のモノマネみたいに大きく上下させたり、自分で自分に抱きつくみたいに腕を体に巻きつけたり、
ジェスチャーが大きいとか、そんなレベルではなく、不自然な動きをしながら彼女はしゃべり続けた。
そうかと思えば泣きそうな顔で、私今まで人の眠りを邪魔したことなんてないのよ、ごめんなさい、、と謝ってきたりした。
薬か何か、、、やっているんじゃないかだろうか、、、。
3日同じ部屋で過ごしたが、不安定すぎる彼女が怖くなり、彼女と違う部屋にしてもらうか、難しいなら自分が宿を変えると宿に伝えた。
うかうか洗濯物も干しておけない宿なんて嫌だ。
すると、いわく弟から申し入れがあった。
彼女は偏執病なのだと。
この2日間、彼女は薬を切らしており、精神状態が不安定になっていた。
薬を飲ませたから、もう大丈夫だ。
不快な思いをさせて悪かった。
部屋は移動するが、荷物はそのまま置いておく。
彼女は物を片付けるが、泥棒ではないから安心してくれと。
故意でなくても、事実なくなったものもあるし、彼女が部屋に出入りできるなら、部屋に安心して物は置いておけない。
本当は荷物も移動してほしい。
移動しないなら部屋に入るときは一緒に入ってほしいと伝えると、
彼は怒った。
常に見張っとけっていうのか!人を犬みたいに言いやがって!!リネルは人間だ!!と。
驚いた。
後から落ち着いた弟に聞くと、弟は1人でリネルの面倒を見ており、夜はリネルが徘徊するので寝不足が続いていたらしい。犬みたいに思ってたのは彼自身かも。
結局、荷物はそのままで、彼女は別の部屋で寝る形になった。
宿が、彼女たちに、どう伝えたのかわからないが、部屋を変えたいという申し出は彼女を傷つけたようだった。
数日薬を飲んで落ち着きを取り戻したリネルとキッチンで会ったとき、
私はちょっと病気なだけよ!あなたたちの否定的なものの見方が、どれだけ人をみじめな気持ちにさせるか考えてよ!ととても悔しそうに怒った。
****
長くなったけど、ことのあらましはこんな感じ。
偏執病、英語だとparanoia。
知らない言葉なのでとりあえずググる。
私は宿で安心して過ごしたくて、部屋を変えてほしいって思ってた。
薬を飲んだらよくなるなんて言われても、ピンと来ないし。
だけど、向こうにしてみたら、すごく傷ついたんだろう。
どうして変人扱いするんだって。
もしリネルがもともとの友人だったら部屋を替えたいとは言わなかったかもしれないし、
知り合いに同じような状態の人がいれば、もう少し彼女の目線に立てたかもしれない。
いや、、どうだろう。
異常な行動を目の当たりにして、結構こわかったからな・・・。
どうするのが正解だったんだろうなぁ。。
多数派や通常とは違う状態の人に出会ったときに、どんな対応ができるか。
それは、自分の底力が試される瞬間なのだな、と思いました。
障害を持った人や、精神疾患がある人には、理解を示すって、どうすることなんだろう。
子供や老人と接するときみたいにすればいいのか?
それはそれで失礼じゃないか?
今回みたいに、自分が安心しようとすると誰かが傷つくってパターンの場合は?
安心と傷つけること、どっちが大事か考えればいいのか?
そもそも安心しよう(=その人を危険な存在と認識してること)っていうのが、間違い?
また答えのでない宿題が私の中で一つ増えました。
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