匂フ上リ
本格的に島観光を始める前に、無釣果傷心中(!?)のTさんを、
島の中央部辺りにあるお家まで、ひとまず送っていくことになった。
その車中。
窓から顔を出し、沿道の並木にリスの姿を目をこらして探しながら、
(伊豆大島には野生のリス、サルが大量にいるのです!)
耳に入った大島が地元のKとTさんの会話で気がついたことが。
「あの道、上るんだよな?」
「そうそう、それからあそこを下って・・・」
道に関して、「上り・下り」という単語が良く出てくるのだ。
まるで京都のようないい回しで、である。
確か京都では、北の方角を「上り」、南の方角を「下り」という風に、
南北を示す言葉であったと記憶しているが。
聞くと大島地元では、島の真ん中(よりちょっと南)付近にある三原山を基点とし、島の円周側(すなわち海側)から、三原山の方へ向かう事を「上る」。
三原山側から、海側へ行く事を「下る」というらしい。
所変われば言葉の意味合いも変わるモノである。
言われると確かに、山の方に近づけば近づくほど、山に「登る」形になるわけで、
「上る下る」の表現は、非常に合理的で解りやすい感じがする。
しかし例えばKのように、大学の時に京都に一人暮らしをしていたような人間は、
意味を取り違え、山の方角を探したりしなかったんだろうか?とよけいな疑問が。
・・・今度Kに聞いてみよう。何はともあれ、
「ああ、あそこの道を右に上るのよ~」
なーんて、島に滞在する間にちょっと“通”ぶって?使ってやろう~!
と一人車中でほくそ笑む私でありました(笑)
ところで、もう一つ気になっていたものがありまして。
それは後部座席に座るKの横にある、発砲スチロールの白い箱。
割と大きめで、50cm×30cm×30cmくらいの大きさはあるだろう。
釣果を入れるモノ?に見えなくもないが・・・。
確認した所、それは「波布」という港のとある店で、
いつもTさんが買って帰る美味しい焼き鳥が入っているらしい。
へぇ~!と、ここまではよかったのだけれど。
何!?美味しいものとなっ!?じゅるじゅるじゅる・・・
と私が飢えた獣の目つきになったため、
Kが気を使って(脅えて?)箱の中身を見せてくれたのだ。
中には予想を超えた、100本!位の大っ量の焼き鳥が入っていて、
確かにすごく美味しそう!!!
・・・だったのだけれど。
あけた瞬間、いっきに車の中が、“プアーン”と“焼き鳥臭”で満タン状態に!
う、うぇえええええ。
美味しそう、確かに美味しそうな匂いだけど、車の中でかぐと気持ち悪いデス!
ぬぉおおおおお。
そんなワケで車の全ての窓を全開にして、ドライブはまだ続くのでありました。
青靴隊結成!?
さてさて。
この旅は実は、現地集合の3人旅―。
そのヒトカタ、大島出身のKが港まで迎えに来てくれているはずである。
Kとは確か3年ぶりくらいで、最後に会った時はダブルのスーツ姿の、
ちょっと貫禄のあるビジネスマンになっていた。
どこだビジネスマン、ビジネスマン・・・あ、あれぃっ!?
そこには真っ青な上下ジャージ(ちなみに旅中はずっとこのジャージ着用☆)
に身を包み、そして目の覚めるような、ぴっかぴかの青い運動靴を履いた、
全身ブルーマウンテン!じゃないブルーマンの姿がっ。
け、Kだ・・・!
なんか、むっちゃ若返ってる!
(うう、うらめやましいっ。ビバ若さ!きゅぴーん。)
(そしてぴかぴか青靴が目立ってるで~)
ブルーマンにそんな第一印象をこっそり抱きつつ、無事合流。
どうしても目が行くぴかぴか☆シューズについて早速つっこんだら、
どうやら島まで普通のビジネスシューズで来てしまい、慌てて買い込んだそうな。
にゃーるほろ!がってん。
ちなみに自分では気がついてなかったのだけど、
私もKには及ばないが、割と新しいブルーシューズ着用していた。
ということで・・・。
ここに観光戦隊?★チーム・ブルーシューズ★が結成されたのであった・・・!
うはははは!負けないぜ宿敵!
三原山の馬こうめ!(←なぜこいつが敵なのかはおいおい。)
あとはモウ一人の連れ、Aも青靴なら完璧だぜっ。
・・・って、なんの日記なんだこれは。
失礼。島についてテンションが上がりすぎました。
とりあえず移動のため、Kの車に向かった。
と、そこには私たちが来ると聞いて、
旨い魚を食べさせようと、朝から頑張って釣りをしてくれたという、
島在住のKの友人Tさんが待っていた。
Tさんが頑張ってくれている証拠写真(K撮影)
が、釣果が一匹もなかった為、初対面だがちょっぴり元気がないTさん。
どんまい!Tさん!全然大丈夫ですよん。
私たちが滞在中に釣ってくれたら間に合いますカラ!(←釣らせるんかい!)
気分上々陸す。
ざわざわ、ざわざわ。
静かに眠っていた人達が動き出す気配。
船が、止まったのだ。
とうとう着いた――!
ひゃっほぅ、と小さく心の中で小躍りする。
はやる気持ちを抑え、ぞろぞろと並んで船内を登り、
(大人気なく、狭い階段途中で抜いた子供にガンをつけつつ)
海と陸を渡す階段を降りて・・・
“たん”とまず一歩。
実に10年弱ぶりの上陸・・・!
懐かしい景色が眼前に広がる。
そびえる三原山、ホテルの迎えの人達、見覚えのある建物の数々。
港は、元町港。
実は大島には、元町港と岡田港の二つの港がある。
10年前はここ、元町港がメインで使われていたのだが、
諸処の事情により、観光船は、今はほとんど岡田港に着くそうだ。
が、今日は風向きの関係で、元町港着。
懐かしい港からスタートできるなんて。
こいつはなかなか、幸先がよさそうだ。
水上を走る。
真っ青な海を、真っピンクの船がひた走っていく―。
島へ向かう高速ジェット船、“愛
”号の中。
この船は海中でなく、水中の翼(?)の力で船体が浮き上がって、
海上を走る仕組みになっているらしく、(モチロン詳しい事は解りませんとも!)
だから揺れが少なく、また高速で移動できる、という触れ込みのモノ。
私が10年前に来た時は、大きなフェリーで何時間もかけていった大島も、
今ではバビュン!と、1時間45分あればついちゃうのだから、
「時代は変わったな・・・」。とかついつい、言いたくなってしまう。
(これを言い出すと、年寄り!?)
でも確かに、船中は全然揺れがなく快適で、
観光客で満員のはずなのに、
みんなが心地よい昼寝を決め込んでいるので、不思議にとっても静か。
・・・私?
私はさっき売店で、帽子と一緒にちゃっかり買った、おにぎりとメロンパンを食べながら(笑)
前方の、雲一つない水色の空しか見えない、窓をただただ眺めている。
IPODから流れるBGMはハナレグミ、“MUSICA”。
鳴呼~~!
もうちょっとこのままでいたいっ。島に少しでも遅くついてほしい・・・!
あまりの心地良さに、そんな気さえしてきてしまった。
早く着きたいのに、着きたくない。
この気持ちよさはなんというか・・・。
そうだ。遅刻しそうな朝の、二度寝に似ている。
安物買う。
“1個 260円”
その文字が目に入った時、思わず「おおお~!」と声が出てしまった。
場所は東京、竹島桟橋にある船着場の売店の中。
ここで今から、あの島へ向かう高速船に乗る。
新幹線を降りてからここまで、山手線と徒歩でだいたい20分くらいだったろうか。
実は私は、その間ずーっとあるものを探していたのだ。
それは・・・“帽子”。
ま、これは言い訳なのだけれど、なにせ前日は夜12時半頃にバイトから帰ってきて、力尽きて気がついたら沈没していて、朝奇跡的に7時頃に目を覚まし、あわてて30分くらいで手当たり次第にそのへんのモノを詰め込んで出て来たモンで、帽子なんてぇものはもちろん荷物になかったわけで。
しかしそこは○歳のレデー!?
晴れ渡る青空を前にして、日焼けによるしみとかしみとかが気になってくるわけで・・・。
“やばいやばいだめひやけだめひやけだめ、しみしみしみしみになる、ぼうしぼうしぼうし・・・!!!”
目から“帽子サーチビーム”を、「うぃ~ん」と音ができそうな勢いで出しながら、ここまでやって来たマグマ大使・・・じゃなかったワタクシ。
そしてついに出会ったのが最初の、“1個 260円”なのだ・・・!
●売店のかなり端っこの方に、解り難ーくひっかけられていた、黒く地味なキャップ達!
●ひとっつもロゴのついていない、シンプルでいて空きの来ない真っ黒なデザイン!
●誰でもかぶれるように後ろのアジャスター?で調節ができる、画期的機能!
・・・そして何より、この大都会であり得ない、“1個 260円”のお・ね・だ・ん☆
どれをとっても申し分のない品物ではありませんか・・・!
(竹芝桟橋の売店にお越しの際は皆様もぜひ探してみてくださいね♪)
そんなワケで。
『たびはび。はやっすい帽子を手に入れた。
たびはび。の日差し防御率が50point上がった』
・・・しかし後ほどこの帽子、後にとんでもないところで落としてしまうことになるのだが・・・・。
たび発つ。
上京する新幹線の中で聞く林檎の「シドと白昼夢
」は、
どこか退廃的なムードが、しっくりきてなかなか気分に合うな・・・。
流れて行く景色を見ながらふと、ぼんやりそんなことを思った。
あと三十分で東京駅につきます、と小さくアナウンスが聞こえる。
・・・「上京」といっても、実はその大都会には、一時間程しかいないのだけれど。
私はそこから一人喧騒を離れ、海を渡って、あの島
へ行く。
10年ほど前に何度か訪れた場所。何故か懐かしい感じのする、
海・山・動物達と、それにびっくりするぐらい近くにある星々。
今も色褪せることのない数々の思い出達が、否応なく頭をかすめ、
期待感がだんだんと膨らんで来るのが止められないでいる。
きっと私は今、人から見たら怪しいうす笑いを浮かべていることだろう。
だが、そんなことは一向に構わない。
あの島は今、どんな景色になっているのか。
今度は私に、どんな思い出達を残してくれるのだろうか。
たった3日の、しかし永遠の私の島への旅は、こうして唐突に、
(ぎりぎりに席を予約したため、それしか残っていなかった)喫煙車の新幹線の、
真っ白なケムリの中から始まった。
