秋は、
台所から深くなる。

山の色だけが、
秋を知らせるわけではありません。

炊きたての米。
きのこや根菜。
味噌の香り。
鍋から上がる湯気。

外の空気が冷たくなるほど、
台所にあるものが少しずつ温かく見えてきます。

盛岡、花巻、遠野。
食材だけではなく、それを炊く、煮る、焼く、囲む。
東北の「食べる暮らし」に近づく5つの宿を選びました。

FROM HARVEST TO KITCHEN

実ったものが、
台所へ帰ってくる季節。

秋になると、その土地で採れたものが食卓へ集まってきます。

でも今回見たいのは、食材の名前だけではありません。

米を炊く。
野菜を煮る。
肉を焼く。
ひっつみを手でちぎる。

誰かにつくってもらう料理から、
自分で火を使う湯治場の台所まで。

「食べる」の一歩手前にある時間を旅します。

画像は記事テーマをもとに作成したイメージビジュアルです。実際の宿、客室、料理、食材、台所、曲り家、周辺景観とは異なる場合があります。

FOUR WAYS INTO THE KITCHEN

東北の台所を味わう、4つの視点

RICE|土地で育った米を、炊きたてで食べる

SEASON|山や畑から届く旬を、料理にする

FIRE|炊く、煮る、焼く。火のある食卓へ戻る

MEMORY|郷土料理の向こうに、その土地の暮らしを見る

01 / START WITH IWATE BREAKFAST

HOTEL MAZARIUM

まずは朝、
盛岡で岩手を食べ始める。

盛岡バスセンターの上にある、街の中のホテル。

朝食は、岩手の旬の食材をシェフが選び、季節ごとに内容を変えるスタイルです。

岩手県産の米、鶏、味噌、海藻、ヨーグルト。

旅先の朝食を「ホテルの朝ごはん」で終わらせず、今日これから歩く岩手の予習にする。第二章は、ここから始めます。

RICE|岩手県産米

LOCAL|岩手の旬の食材

TOWN|盛岡の町へそのまま歩き出す

この宿の決め手|その日の旅を、岩手の食材を食べる朝から始められる

 

02 / TURN THE SEASON INTO A DISH

花巻温泉 佳松園

採れたものを、
一皿の季節に整える。

花巻では、少し料理人の台所へ近づいてみます。

佳松園が掲げるのは地産地消。海の幸、山の幸、その時期の素材を使い、和食の技で会席へ仕立てます。

旬は、そのまま皿へ置けば料理になるわけではありません。

切り方、火の入れ方、出汁、器。人の手を通ることで、秋がひとつの食事になる。その「整える仕事」まで想像しながら味わいたい宿です。

SEASON|四季折々の旬

LOCAL|海と山の地のもの

KAISEKI|旬を組み立てる日本料理

この宿の決め手|東北の秋が、料理人の手を通って一皿になるところを味わえる

 

03 / COOK FOR YOURSELF

大沢温泉 自炊部

食べる宿から、
自分でつくる宿へ。

大沢温泉には、今も昔ながらの湯治場の自炊文化が残っています。

共同炊事場には調理道具や食器があり、食材を持ち込んで自分で料理することができます。

ひっつみ粉が付く宿泊プランまであります。

宿で豪華な夕食を待つのではなく、自分で野菜を切り、鍋を火にかけ、湯に入る。旅先なのに生活へ戻っていく感じが、この章ではむしろおもしろい。

KITCHEN|共同炊事場

HITTSUMI|東北の粉もの文化

TOJI|自分で暮らすように泊まる湯治場

この宿の決め手|「土地の料理を食べる」から、「土地のものを自分で料理する」へ進める

 

 

 

04 / EAT THE STORIES OF TONO

語り部の聴ける宿 あえりあ遠野

遠野では、
食卓の前に昔話を聞く。

この宿では、夕方に語り部による遠野の昔話を聞くことができます。

そのあとに待つのは、岩手の旬を使った料理。プランによっては遠野名物のジンギスカンや、釜炊きの岩手県産米も味わえます。

食べものには、その土地が歩いてきた時間があります。

昔話を聞いてから食卓につくと、料理もただの名物ではなく、遠野の暮らしの続きに見えてきます。

STORY|遠野の語り部

RICE|釜炊きの岩手県産米

LOCAL|遠野の食とジンギスカン

この宿の決め手|遠野の味を、その土地の物語と一緒に食べられる

 

05 / BACK TO THE OLD FARMHOUSE

たかむろ水光園

最後は、
昔の暮らしの形へ戻る。

遠野の自然の中に広がる施設で、敷地には伝統的な南部曲り家も残されています。

遠野で広く親しまれているジンギスカンを味わえる宿泊プランもあります。

ここでは、「郷土料理」という言葉を少し暮らし側から見てみたい。

家があって、火があって、人が集まって食べる。秋の食卓をたどってきた第二章を、最後は遠野の古い住まいの形へ戻して終わります。

HOUSE|南部曲り家

LAMB|遠野のジンギスカン

LIFE|食と住まいが近かった暮らし

この宿の決め手|東北の食を「名物」で終わらせず、昔の暮らしの風景までつなげられる

 

CHOOSE YOUR KITCHEN

どの台所から、秋を味わう?

HOTEL MAZARIUM
盛岡の朝を、岩手の食材から始める。

花巻温泉 佳松園
旬が一皿になる、料理人の仕事を味わう。

大沢温泉 自炊部
共同炊事場で、自分の夕食をつくる。

あえりあ遠野
昔話を聞いてから、遠野の食卓へ。

たかむろ水光園
曲り家とジンギスカンから、暮らしの食を見る。

THE KITCHEN GETS WARMER

外が冷えるほど、
台所はあたたかくなる。

第一章では、山の空気が冷えるほど濃くなる温泉の湯気を追いました。

第二章では、その湯気を台所へ移します。

米を炊く。
野菜を煮る。
肉を焼く。
鍋を囲む。

秋は、景色だけで深くなるのではない。
食べるものと、食べ方も変わっていく。

秋は、台所から深くなる。
次は、雪が来る前の町へ向かいます。

※料理内容、食材、郷土料理、語り部、自炊設備、南部曲り家の宿泊などは、時期や宿泊プランによって異なります。南部曲り家は季節営業のため、予約前に各施設の最新情報をご確認ください。