町名 小松(愛媛県)
キャッチフレーズ いよ小松 文化の里をめざして
所在地 愛媛県西条市小松町
最寄駅 JR予讃線小松駅(駅から約500メートル)
訪問 2021年7月
江戸時代末期の大名は一柳(ヒトツヤナギ)氏、一万石、外様

この日は別子銅山~西条陣屋~小松陣屋と車を走らせました。ナビで近くまでは来ましたが、住宅街で道が細く、『近藤篤山旧邸』という看板は目につきますが肝心の陣屋跡がわからない。
車をフラフラ走らせていると『小松温芳図書館』というただならぬ名前の施設を発見し、そこへ停めました。駐車料金タダだろうというのもありましたが、車を降りると、やはりただならぬ古そうな門を発見しました。小さくとも由緒ある唐草門とのことです。

小さな図書館の二階が郷土資料室になっており、小松藩の資料と観光地図を売っていたので購入。最近出したものらしく、現在、地域のそういう会が活発に動いていることがわかります。


なんと、このあたりは地名が「旧藩」というらしい。よくわからないけど、すごい。


藩校跡は空き地。看板が立って何となくわかったような気がしたのに対し、陣屋跡は小さなスペースのみ残しており、広い敷地は宅地に分譲されていました。陣屋の南側には大きな家老屋敷があったらしいのですが、そこも切り売りされていました。

周辺にノスタルジーを感じさせるものは見当たらない。残るは図書館すぐ近くの『近藤篤山旧邸』。ここの前の道は武家屋敷街の雰囲気が濃厚に残っています。二件隣のお宅も壁が立派で雰囲気が良い。何せ門が本瓦だし。その上にも古そうな長屋門がありましたが、あれはどうなのでしょうか?

 
休日でしたが、例によって観光客など見当たりません。近藤篤山旧邸も看板は立派ですがひと気はなく、やってるのかよくわからない。チャイムをためらいましたが、せっかく来たんだからと押してみるとインターホンから図書館の人が「今行きますのでちょっと待っててくださーい」と対応。すぐに来られて鍵を開けられた方は、先ほど資料を買った私を覚えていて、丁寧に説明してくれました。


篤山は百姓の出身で、幼いころ実家が苦しく父は別子銅山で働いたそうです。ああやっぱり。余談になりますが、この日の朝に見た別子銅山(マイントピア別子)は地域の一大産業で、地域の雇用を生み出してもいたのですね。さて息子篤山は学問を頑張って名を上げました。

二十代後半で江戸へ行き昌平黌に入学した篤山は「やがてはここの先生に」と嘱望されるようになりますが、彼自身は「自分の学問は、地位や名誉を得るためのものではない」と考えるようになり、親孝行したいと思っていたこともあって、江戸にとどまらず帰郷しました。

小松では藩校の先生として招かれ、藩校「養正館」での講義のほか私塾も開き熱心に教え、人徳もあったので伊予聖人と呼ばれました。こういう冊子を教育委員会がつくるくらいだから、いまでも尊敬されているのでしょう。

こじんまりとして周りは田んぼ、背景に山が見え、非常に印象深い陣屋町でした。

図書館の方の対応も素晴らしく、『古き良き地域』を感じることができました。