亀岩の洞窟と滝
江戸時代前期に、水田耕作のために作られた洞窟である。洞窟内に亀に似た岩があることが確認され、亀岩の洞窟と名付けられたとされる。



 

↑ 亀岩の洞窟へ ↓

 

 

亀は北極星の分神であるとされ、北極星の別称である妙見菩薩が宿るとされるため、北辰妙見洞とも称される。




↑ 下り階段の途中で、亀岩の洞窟が見え隠れ ↓



 

亀岩の洞窟と滝
小櫃川支流の笹川に、川廻しによって形成された素掘りのトンネル(亀岩の洞窟)と滝が見られる。


 

「亀岩の洞窟」というのは、江戸時代に河川の曲流部をトンネルや堀割りで人工的に短絡し、曲流跡を埋め立てて水田化した新田開発工事のことです。


 

上総地方の曲流河川には、川廻し地形が数多く分布している。


川廻しでは、河床高度の高い川の上流側と、高度の低い下流側を直接つなぐことになるので、新しい河道(シンカワ)には小さな段差が生じ、小規模な滝、あるいはナメ滝が見られることが多い。

 

笹川の川廻しと滝はどのように形成されたのであろうか。

川廻し地形模式図(図1)を見てみよう。


 

川廻し以前の笹川は、トンネル向こう(上流側)で左方へ流れ、その先で曲流して向きを変え、トンネル手前の流路を流れていた。


 

この曲流の接近した部分に、導水溝として長さ30mの掘り割りを作り、さらにトンネルを掘り、出口は落差5mの滝にして水を落とし、笹川を短絡した。


 

川廻し地形
掘り込んで曲流した流路(穿入曲流という)を人工的に短絡する河川工事である。
  


 

目的には、新田開発のための水田開発用とその他の目的(林業・交通用)の場合があり、形態が異なっている。

 

また、治水用でそれを水田化したという説もある。



↑ 亀岩の洞窟 ↓



 

川廻し地形は、水田用の場合が主なので、短絡工事の結果できる、中央の島状の部分を、ナカジマと言う。

旧流路で、ナカジマを取り巻く、もとの曲流跡をフルカワと呼ぶ。主に水田が造成されている。


 

↑ 地元の農民が4〜5人で手掘りで貫通させたという ↓

 

 

新流路をシンカワと呼ぶ。シンカワは直線状の切り通しかトンネルであることが多い。フルカワは以前の曲流した谷の跡が新田として水田化された所で、周囲の斜面の湧水による田になっている。


 

この川廻し新田は、房総丘陵を特徴づける新田開発の方法といえる。


川廻しはこのような地域性の他に、江戸時代にはじまり、明治時代に大体終了するという時代性のある歴史現象でもある。

 

 

有名なのは、差し込む光が作るこのハートの形

3月か9月の彼岸時期に、朝日が差し込む時間になるとこのような写真が撮れます。

遊歩道数か所に(清水渓流広場)に、これらの写真が展示されています。




現在では川廻し新田は使命を終え、休耕地化したり、埋立や地形改変により消滅しつつあり、旧状を残すものは少なくなっている。


 

さて、川廻しについては調査が少なく、一般にはほとんど知られていない。

 

 

この川廻し工事の結果、長さ900mの細長いフルカワ(図1の黄色の旧流路跡)ができ、約3町歩の水田が新たに作られたという。現在の滝は、当初の滝がその後の侵食で変形し、最長で約30m後退したものである。


 

最近この場所は、トンネルから差し込む光がハート型を作る景観がSNSなどで注目され、著名な観光スポットとなっている。
 

 

↑ 清水渓流広場遊歩道デッキに戻る ↓

 

 

↑ 来た道を戻るか清水渓流広場遊歩道にするか思案 ↓

 


 

↑ 来た道と清水渓流広場遊歩道 ↓

 

 

↑ 清水渓流広場遊歩道を選択 ↓

 

 

かつて水田となっていたフルカワには、木道が作られ、夏は清流と蛍、秋は紅葉を見ながら滝に近づける遊歩道機(清水渓流広場)として整備されている。

 


なおこの滝は一般的には「濃溝の滝」と呼ばれることがあるが、地元の方たちによって、トンネルと滝が「洞窟の滝」、トンネルそのものは、亀の形が見えるということで、「亀岩の洞窟」と名付けられている。本来の「濃溝の滝」は、笹川の少し下流に位置する別の滝である。


 

↑ 此の遊歩道(清水渓流広場)はホタルの里として知られている ↓

 

 

ここは太陽の光が洞窟を通る角度によっては、ハートの形に見えることから、それを写真にとれる彼岸(3月、9月)がベストの時期だと思われがちですが、これからの時期が、福島県出身のボビーが驚くほどのホタルが飛び交う、超・おすすめホタルスポットのベストシーズン。


 

↑ ホタルや亀岩の洞窟の四季折々の写真が展示されている ↓

 

 

週末の夕方になると、清水渓流公園の木道が人でいっぱいになるほどですが、ホタルの乱舞が圧倒的すぎて、時を忘れて眺めていたくなるほど。