ミスト散布とは、
液体を人工的に霧(ミストまたはフォグ)状にして散布(噴霧)することをいう。

イメージ 1

自然発生的に生じる霧の利用とは区別する。
ここでは、人工的に造られた、スプレーノズルの噴霧口から出る数μmから数十μmにまで細かくされた霧を用い、液体散布・加湿・冷却・冷房などを効率よく行う場合を「ミスト散布」と呼ぶ事にする。

液体は水(水道水・工業用水など様々)の場合が多いが、アルコール系溶剤などの薬剤を用いる事もある。

なお、不審な侵入者に極めて濃い霧を短時間に噴射し、煙幕を張って視界を遮る方法や装置(「霧噴射」や「フォグガード」など)は、湿度や冷却効果を得ることが目的ではないので、ここでのミスト散布とは区別する。

イメージ 2
  
↑ ミスト発生 ↓

イメージ 3

気化熱の利用による冷房効果
水を人工的に霧(ミスト)として散布し、その気化熱の吸収を利用した冷房や冷却を目的とする利用が行われる。霧の中に入ると涼しく感じる事は、古くから多くの人が経験しており、打ち水もその例である。

初めて冷房・冷却を目的としたミスト散布は辻本誠や能美防災などによって2003年7月下旬から8月中旬にかけて実験が行われ、2005年の「愛・地球博」で一般に公開されてからビルや公共施設などの屋外や屋内での冷房や冷却設備として広く利用され始めた。

霧状となった水はその粒子が極めて小さいために素早く蒸発し、肌や服が濡れることもほとんどない。
 
霧は水を高圧ポンプで圧縮し、配管を経て微細な穴を持つノズルから噴射されることによって作られ、水は微細なほぼ径5~30マイクロメートルの粒子となる。

辻本誠などによれば水の粒子の「ザウター平均粒径(Sauter mean diameter)」を16μmにまで細かくしたと言う。

例えば、屋外で周辺の気温を2~3℃下げるためのエネルギー消費は、家庭用のエアコンの1/5〜1/20といわれているが、その値も諸説ある。

現在の段階でも、各大学・各企業で様々なフィールド実験が行われているところである。
特に屋外におけるミスト散布においては、散布の広さ、ノズルの配置、時期ごと湿度や温度、風速など様々な要因によって降下温度や電力消費量が変わってくる。

2007年頃からエコが叫ばれるようになり、多くの企業や公共事業体で通常のエアコンなどのコストのかかる冷房に替わるミスト散布の冷却を採用し始めた。

イメージ 4

↑ 東京スカイツリータウン4階のミスト発生機 ↓

イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7


イメージ 8

イメージ 9

イメージ 10

↑ 足元からのミスト発生装置(排水溝を活用) 

イメージ 11

ミスト散布装置の仕組み
通常、ポンプで圧縮された水をノズルから噴射してミスト(霧)を作り出す「1流体方式」が主流であり、その際のポンプ圧力は0.01MPaの低圧から10MPa程度の高圧まで様々である。

他に、圧縮された水と圧縮された空気の2つの流体をぶつけ合う「2流体方式」では、「1流体方式」に比べてより細かい粒子径の霧を得る事が出来るが、仕組みとしては1流体方式よりも複雑なため、部品としてのコストは割高となる。

霧の発生装置はこれら「1流体方式」と「2流体方式」が主であるが、どのように流体を噴射するかは様々な工夫が凝らされており、各社のミスト散布製品(スプレーノズル製品)のカタログやHPなどを参照されたい。

イメージ 12

イメージ 13
  
↑ ミスト発生装置に戯れる子 ↓

イメージ 14


イメージ 15

工事によって、
ミスト散布装置に制御盤やバルブを取り付けシステム制御することによって、温度や湿度を計測して冷却・加湿・散布などの効果を測定したり、風速計や降雨センサなどを設けてフィードバックを行う機能を有する製品も販売されている。

イメージ 16

  ↑ ゴルフ練習場 駅舎ホーム ↓

イメージ 17